修士論文発表会であった.
朝9:30~17:30まで,20人を優に越える
学生のみなさんのプレゼンテーションを聴く.
さすがに修士2年ともなると,
学会での発表経験も豊富なためか,
プレゼンがうまい.
プレゼンの技術は年々向上しているのではないかと思う.
私の頃はOHPを用いた発表だったから,
まず透明なTransperancyに白黒の印刷を
(当時高価だった)レーザープリンタでしてから,
OHP用のカラーペンで重要な箇所に
アンダーラインを引く,というくらいが関の山だった.
(以前の職場の上司の時代は掛図だったそうだけれども)
それがいまではパワーポイントなどを用いて
アニメーションを効果的に取り入れて行われている.
確かに,視覚的に説明されると
理解が容易になることが多い.
そうしたテクニックを学生たちが
苦もなく使いこなしているのをみると
時代の移り変わりを感じざるを得ない...
あぁ,わが学生時代は遠くなりにけり.
さて,この発表会は試問も兼ねているから,
学生たちは発表の後,教員たちからの
質問やコメントに対応しなければならない.
発表は,ちょっと回数をこなして練習さえすれば
上手になるけれど,
この質疑応答は日頃の勉強の量がモノをいう.
やっぱり一夜漬けでは,種々多様な質問に
対応できないのである.
(まぁ,それを教員はCheckするのだけれど)
今日の発表を見ていて思ったのは,
学生たちは目の前のこと
(計算モデルや実験回路など)については
それなりに説明できるのだけれど,
そもそもの研究の背景などの質問をされると
突然シドロモドロになってしまうこと.
自分の研究の展望が見えていないようである.
目の前につきつけられた問題だけを解いていくだけならば,
先生から宿題を与えられているのと
大差ないのではないだろうか.
研究というのは,教科書の例題を解くことではない.
どんなに小さな課題であっても,
社会に貢献することを目的として行われるものなのだ.
だから,この「そもそも論」というのが
非常に大切なのだ.
どういう社会背景があって,
そこではどのような問題,課題があって,
それをどのように解決しようとしているか.
そうした研究の立ち位置を
わかっていなければ,
どのような方向にこの先進んでいったらよいのか,
決められないのである.
これは研究のモチベーションである.
そして,自分の立ち位置を知ることは,
研究だけではなく,
自分の進路を決めるためにも
おそらく不可欠なことなのではないか,
と思うのである.
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