先日,ついつい「オヤジギャグ」を言ってしまった.
それはそれは見事なオヤジギャグで,
聞いた人は完璧に呆れていた.
それほど「オヤジ」な「ギャグ」だった.
(まぁ,他愛のないダジャレだったのだけれど)
私も若い頃,なぜ歳をとると,
ああまでくだらないギャグをいうのだろう,と
不思議に思っていた.
公衆の面前でどうしてあのような恥ずかしい
真似ができるのかと.
いやオヤジギャグは社会的な悪であるとさえ思っていた.
しかし,今ならばわかる.
身にしみてわかるのである.
オヤジになると,オヤジギャグを言わざるを
得なくなるのである.
若い頃,くだらないギャグを思いついても,
「これをいったら,すべるだろうな」
と自制が効いて,言葉に出すのをためらったものである.
「すべる」ということが,引き起こす友達からの冷たい視線,
それが抑制となっていたのだ.
(もちろん,自分でも「くだらない」と思っていたし)
ちゃんと我慢ができていた.
それが歳をとるにつれ,
この我慢ができなくなってきたのである.
どんなにくだらないことでも思いついたら,
口に出さずにはいられなくなる.
「ギャグ耐性」が低くなるのだ.
それは,歳をとって(種々の人生の苦みを経験して)
自分が思いついたことを形にしないまま
失ってしまうことがもったいないと,
思うようになってしまったからかもしれない.
あるいは,単に厚顔無恥に
なってしまったためかもしれない.
どれもが理由にあてはまるのだろう.
しかし,歳をとると短気になる,そのことだけは
大きく影響しているような気がする.
人生に残された時間が短くなるからだろうか,
人は歳をとると短気になりやすい.
私なんて,生来の短気者だから,最近ますます
怒りやすくなってきている.
発火点が低くなってきたのだ.
この怒りへの発火点の低さは,
すなわち私の人生の余裕の無さを表していて,
その余裕の無さがオヤジギャグを我慢する,
そのハードルを低くしているのである.
世のオジサンたちもそうなのではないのだろうか.
つまりは,世に短気でない,本当に熟成した
大人が多くなればオヤジギャグは
ずいぶんと減るのであろう.
真に心に余裕をもった「オヤジ」が多くなれば.
と考えると,加速度的に忙しさが増していくこの時代に
オヤジギャグが蔓延するのも仕方ないかもしれない.
私はオヤジギャグを言わない人を尊敬する.
2010年8月23日月曜日
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