2011年4月5日火曜日

家庭・オフィスでの節電がカギになるだろうけれど

いいなぁ.化学工学会.
こうした提言を短期間でまとめて公表できるところに,
学会の力を感じる.

化学工学会「大震災による東日本の電力不足に関する緊急提言」
http://www.scej.org/content/view/1160/27/

この提言にもあるとおり,夏に向けての節電は,
電力消費の時間シフトが鍵になると私も思う.
今回の節電は総量規制ではなく,
ピークとなる時間帯の電力需要を低減できればよいので,
石油ショック時に行われた節電よりも,少しはマシである.
まずは夜間に照明を消せ,と言われることはないだろう.

現在,産業界においてピーク時電力の25%の低減に向けた
検討が進めれらていると報道されている.
夏場は,9:00~16:00程度がずっと電力需要が高いから,
昼間のピーク時間をシフトした操業,
あるいは夜間の操業などがまず検討されるだろう.
また,夏季長期休暇も視野に入れられていると思われる.

しかし,産業界で25%の低減ができたとしても,
産業界の電力消費の割合は全体の4割程度だから
全体の電力消費からいくと10%程度低減されるに過ぎない.
全体で6000万kWのうちの1000万kWだから1/6,
すなわち17%程度は低減しなければならないことになる.
あと7%は,民生と運輸関係でなんとかするしかない.

運輸は,昼間の間引き運転で対応するしかないだろう.

問題は,民生である.
私たちの家庭やオフィスなどでの節電である.

ご存じの通り,日本の省エネ技術は世界のトップレベルにあって,
だからこそ逆に,これ以上省エネをしろ,といわれても
なかなか省エネできないのである.

また,省エネ技術の発展によって,実際に家庭用の
電力消費量は減少してきただろうか?
答えは,全く逆である.
資料によれば
http://www.fepc.or.jp/present/jigyou/japan/sw_index_04/index.html
2009年の電力消費量は1985年の1.3倍以上にもなっている.
なぜだろうか.

これは,私たちが電気機器を多く使うようになったからに
他ならない.
確かにテレビや冷蔵庫の消費電力は低減されたけれど
1985年に比べ,テレビの大きさはどれだけ大きくなっただろうか.
また冷蔵庫の容量はどうだろう.
お湯を沸かすのにも電気を使っていないだろうか.
電気はクリーンで扱いやすいので,どんどんその用途が
広がってきたのである.
(そして契約電力も増大し,60A,70Aでも驚かなくなった)

心配なのは高層ビルのオフィスである.
高層ビルには,たくさんの人たちが活動していて,
それに伴う発熱量は相当なものである.
こうしたビルは,空調無しでは
成り立たないのではないだろうか.
特に,夏場は.
せいぜい設定温度を上げるくらいしか手が無いだろう.
いったいどれだけオフィスががんばれるのか.
昼間オフィスで働けなくなったら,
どれだけ経済活動に影響がでるのだろうか?


しかし,とにかくやるしかないのである.
今年の夏では,準備時間も短く,
発電電力の増強も限られるだろう.
節電で乗り越えるしかない.

私は,精神論が大嫌いなので,
(根拠も無しに,できるとかいうのが嫌い)
それらに頼らず,節電できる社会システムを
設計するのが必要だと思うのだけれど,
この夏ばかりは人々の良心に頼らざるを
得ないのかもしれないと思うのである.


#意外に電力消費で多いのが,
サーバなどの情報機器である.
現在,全国の電力消費量に占める割合は5%にもなっている.
(2025年には20%にもなるとNEDOは言っている)

#たとえば,昼間はTV放映をしないとかすれば,
TVの消費電力はぐっと減るだろう.
(そしてテレビ局はつぶれるだろう)

#電力自由化が行われた際に,
あちらこちらで,それなりの大きさの自家発電設備が
導入されたはずである.
この数年は燃料費の高騰により,電力会社から
電力を購入した方が安かったので,
休ませている設備が多かったと思うけれど,
それらを復旧させることは当然考えられているのだろう.
しかし,それでも発電量は少ないのだろうなぁ.


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