2013年7月18日木曜日

戦略,戦術,兵站

戦略(Strategy),戦術(Tactics),そして兵站(Logistics).
これらは戦争の三要素である.しかし,もちろん本当の戦争に対してだけではない.外交であっても,経営であっても,これらは熟考しなければならない要素である.

そして今日,学生と研究の話をしていて,研究開発の分野においても,戦略と戦術の考え方は重要なのではないかと思った.もちろん,メーカであれば研究テーマなどの選択や予算のつけ方などは,当然こうした考え方が必要かと思うけれど,今日思ったのはもっと小さなテーマ,たとえば回路の制御についてに対してなのである.

戦略と戦術の違いというのは説明が難しいのだけれど,とりあえず,戦術というのは戦闘に勝つための「術」,テクニックであり,戦略というのは大局的に勝利をおさめるための方針なのだと言えるのではないかと思う.戦術というのは各戦闘において勝つことを目的とするが,戦略の観点から見れば,局地戦で負けることも許容されるのである.

今日,回路の制御の議論においては,システムを最終的な目標値に整定するために(戦略),細かなところの制御については多少の誤差を許容しても良いのではないか(戦術)という話をしたのである.局所戦においては多少の妥協を許しても,全体的に目的が達せられれば良しとしようではないか,という大局観である.なにかしらのトレードオフ関係が制御量にある場合にはこのような選択もありうるのではないかということなのだ.

このように戦略,戦術は,大局観と局所戦との対比として位置づけることができるかもしれない.

では,第三の要素,兵站はどうだろう.
こればかりは仕方がない.研究費をどこからか工面するばかりである.
資金の調達は,研究と同様に難しい問題なのだけれど,
ハンダゴテを握っているだけでは解決はできない,また別の問題なのである.

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