2020年5月8日金曜日

面白くない遠隔講義なんて誰が見るのか

遠隔講義が始まっている。私も数学の講義を遠隔で行わなければならない。それでたいへん困っている。

私なんかは,数学なので内容は教科書を読んで自分で演習問題を解けば十分ではないか,などと思ってしまうのだけれど,まずは学生の目の前で問題の解くところを示すことが大事とのことで,昨年は黒板にチョークでガシガシと問題を解いて見せていた。

しかし,今年は遠隔講義である。
どうも黒板を映して問題を解くところを動画で流すと,暗い,小さい,声が届かない,などの問題があるというので,私は共有した画面上でパワーポイントで問題を解くところをゆっくりと見せるか,紙の上でペンで問題を解くところを上から映してそれを流そうか,などと思っている。後者の方が良いように思うのだけれど,講義は動画に残すということで,全部ビデオだとファイルの容量が大きくなってしまう問題がある。まぁ,とりあえず一回講義をやってみて考えようと思う。

しかし,学生は90分もの講義を動画で見るのである。そりゃぁ,学生も疲れるよなぁと思う。通常の講義だって30分もすれば,眠たそうな顔をしている学生の数もぐっと増えてくる。そこでいつもだったら雑談をして,学生の皆さんの注意を引いて目を覚ましてもらうのだけれど,この雑談がだいたい公開NGの話が多いから,動画に残ることを考えるととてもできない。私の雑談はブラックで,自分の愚痴を含むところも多いから仕方がない。自制する。

昔から,バックミンスター・フラーは大学は2種類の教員を用意すべきだという話をしていた。片方は研究のための教員,もう片方は講義のための教員である。講義のための教員というのは話が面白く,講義がうまい人たちのグループであり,これを放映して多くの人に教育を行き渡らせるべきだと言っていた。一方,アインシュタインみたいな研究向きの教授は研究に専念した方が良い,というのだ。講義の動画が公開されるのであれば,自分の大学の教員に限らず,講義がわかりやすく面白い教員の動画を見るほうがよいのかもしれない。たとえば予備校の講義のように。

でも,まだ世の中はそうなっていないし,私の講義を聞いて私の研究に興味をもってもらう学生もいることだろうから,講義に少しでも興味をもってもらうように努力はしたいと思っている。

でも... 自分が学生だったら,自宅で講義の動画を流しながら,となりでゲームをやっているだろうなぁ。当然,講義の方はミュートで。

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