2021年7月1日木曜日

西洋人の幽霊には仏教のお経は効かないのか

 一体,幽霊はいるのかどうか。

個人的には存在してほしいと思うのだけれど,残念ながら今のところそうした証拠はないようである。しかし,幽霊は私たちの頭の中に存在する,となると,その存在はかなり可能性が高くなると思われる。

私たちが脳内で幽霊のイメージを構成するのである。他人には認識はできないけれど,イメージを脳内で構成している人にとっては,その幽霊は現実となんら変わらない存在である。すなわち,会話もできるし,私の心身に影響を及ぼすことも当然できる。そうした幽霊は物理的ではないのかもしれないけれど,確かに存在し,私たちの心身の健康を害すことも可能なのである。

幽霊がそのような存在であるならば,それを形作っているのは私たちの顕在意識の知識・経験と,私たちがその存在さえ認識できない潜在意識下の経験・知識である。それらを材料として,幽霊は構成されている。いや,私たちの心が自律的に構成しているのだ。

私たちが作り上げた幽霊なのだから,それは私たちが考えるルールに従っていると考えられる。幽霊が瞬間移動したとする。私たちはそんな動きは思いもかけないというかもしれないけれど,実は無意識はそうした動きを肯定しているのではないだろうか。幽霊はそういう動きをするものだと,幼いころから無意識下に思い込まされているのではないだろうか。そうした洗脳は日本文化の中で生きているのだから仕方がない。幽霊とは物理法則に従わないものだと心のどこかで思っていて,その無意識が「こんな動きをしたら怖いだろうな」と思ったら,あなたの頭の中の幽霊もそのように動くのである。だから怖いのである。

西洋の幽霊があなたの頭の中で構成されたとする。彼(彼女)には,お経が効くだろうか。

それはあなたの知識と経験次第なのではないだろうか。あなたが心のどこかで(無意識で),どんな幽霊にもお経は効果があると思っているならばお経は幽霊に効くだろうし,日本語がわからなそうだからお経は効かないだろうと心のどこかで思っているならば,効かないことになるだろう。夢の中を支配するルールと同じなのではないだろうかと思う。

だから,つきぬけて楽天家の人の幽霊は怖くないのかもしれない。どんな幽霊が出てくるのか,それは私たちの心の状態を映し出す鏡になるのだろう。

0 件のコメント:

コメントを投稿

旧新潟税関庁舎

 先日訪れた「 旧第四銀行住吉町支店 」がある新潟市歴史博物館の敷地には、 旧新潟税関庁舎 がある。こちらも国指定重要文化財となっていて、無料で公開されている。 ペリー来航ののち鎖国が解かれ、日本では5つの港が開港された。横浜、函館、長崎、神戸、そして新潟なのである。建物の解説を...