いまさらながら,2022年の大河ドラマ「鎌倉殿の13人」について書いてみる。
とにかく面白かった。2020, 2021年と,「麒麟がくる」,「青天を衝け」と続けてみてきて,大河ドラマはやっぱり面白いなぁ,と思っていたのだけれど,「鎌倉殿の13人」はまた格別の面白さがあった。
北条ファミリー内での抗争は,映画「ゴッドファーザー」シリーズを思い起こさせた(たぶん多くの人がそういう感想を持っていると思うけど)。主人公の義時は,アル・パチーノ演じるマイケル・コルリオーネである。マフィアとは別のところで生きてきた一人の若者が,ファミリーをめぐる抗争に巻き込まれ,ダークサイドに落ちていく。義時もそうだった。単なる片田舎の次男坊が,鎌倉幕府を背負う執権に上り詰める。自分の姉が源頼朝と結婚したばかりに修羅の人生を歩まなければならなかった。ダークサイドの闇に染まっていく義時の変化は,ゾクゾクとする面白さを私に与えてくれた。
このドラマの面白さは,次々と謀殺されていく登場人物の散り方である。佐藤浩市演じる上総広常を始めとして,頼家,実朝,和田,畠山など見ているこちらの胸が痛くなる死に方ばかりだった。無念な死,誇りある死,そして暗殺による死。どれも印象的であり,ときに挿入されるコメディータッチのシーンとのコントラストもあって,毎回観たあとに心がなんともいえない気持ちになることばかりであった。
そして義時の最期。私はなんてカッコいいのだろうと思った。最後の最後まで生にしがみつこうとする姿。それでいて,地獄にすべてを背負っていこうという覚悟。どのような死が自分に訪れようとも,それを受け入れる強固な精神力。そんな姿に憧れさえする。素晴らしい終わり方だった。
話変わって,先日,坂本龍一のラジオ番組を聞いた。彼は闘病中で体力も落ちてしまっているけれど,50分の番組のパーソナリティを務めていた。淡々と語られる彼の現状と今後の夢,そして書きためられたスケッチと呼ばれる作品たち。聴いていてなぜか義時を思い出した。静かに語られる言葉の中に覚悟が感じられるような気がする。
今年の私の目標は,「人生を楽しむ」である。残り少ない人生,私も覚悟をかためる必要がある(そしてそのためには,よく考え抜くことが大切だ)。
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