"The Batman"を観た。
最初に言うけど,私の個人的な趣味にピッタリな映画だった。ダークな雰囲気,弱さを抱えたヒーロー,でも友人が犠牲になるような悲しい展開にはならない。また見返したいと思う作品であった(実はクリストファー・ノーランのバットマンシリーズは,大事な人がなくなっていくのが怖くていまだ見ることができない)
まず主人公が笑わない映画である。こんな映画で思い出すのはスティーブ・マックイーンの「ブリット」くらいだけれど,この映画も主人公が楽しくて笑うようなシーンはひとつもない。コメディ要素は廃されているのだ。もちろん,皮肉はたっぷりあるけれど。
主人公は,ロバート・パティンソン。バットマンの影をもつ暗い雰囲気がいい感じ。さすが,昔バンパイアを演じていただけのことはある。私はずっと彼は単なるアイドル的なスターなのかと思っていたのだけれど,昨年に観た「テネット」で,全く彼のファンになってしまった。未見の人はぜひ「テネット」で彼の素敵さを確かめて欲しい。
さて,この映画は,ヒーローアクション映画ではなく,探偵ものの作品となっていることが特徴である。今回の敵役が「リドラー」であることも関係しているのかもしれない(余談だけれど,昔のバットマンでは,「ナゾラー」という名前になっていた悪役)。事件の背景を,そして事件の首謀者を探っていく展開で,観ているものをずっと飽きさせない。事件現場の被害者の状況は,映画「セブン」を思い出す。主人公が追い詰められていくにしたがって,緊張も高まっていく。
バットマンの装備はあまり活躍しない。バットモービルはすごい性能だけれど,ギリギリ現実にありそうなデザインになっていて,ここらへんがフィクションではあるけれどリアルな世界から乖離しないような設定になっている。個人的には,ブルース・ウェインとして登場するときに乗っていた車が,黒のピッカピカに磨かれたシボレー・コルベット・スティングレー(たぶん1960年代のクラシックカー)であったことの方がずっと印象に残っている。この車の後姿が本当に美しい。
そして,この作品では,キャットウーマンが端役ではなく,ストーリーの展開に重要な役割を果たす。なかなか魅力的な女優で,今後も期待できそう。
私の不満となる点について書くと,バットマンが最後に人々をテロから救うことによって,自らが救われるところのエピソードがちょっと弱いような気がした。本当にあのようなことで彼は救われたのだろうか。そしてこれからもバットマンとして活動することを決意するのだろうか。ちょっと共感ができなかった(私の感情が薄いから共感できないのかもしれないけれど)。
ということで,私の評点は5点満点中,4.5点の高得点。0.5点の減点は,上記の不満とおよそ3時間という尺の長さ。3時間は私にとっては長すぎる。映画の最後の方はずっとトイレを我慢していて,ストーリーが頭の中に入ってこない感じだった(探偵ものだから,最後にいけばいくほど,大事なシーンを見逃すのではないかと思って,トイレにはずっと立てなかった…)。続編はあることは間違いない,と思うので(映画の中にそのヒントはある),次の展開が待ち遠しい。
#今年は映画を観て,感想をブログに書いていく,と決意したのだけれど,達成できていない。頑張ります。
0 件のコメント:
コメントを投稿