長野市を訪れた際に娘に薦められて古い映画館を訪れた。長野相生座・ロキシー。見るからに古い映画館で,昭和の時代の映画館ってこんなだったよなぁ,と思わせる外観である。もしも昔のままだったら館の座席は,ちょっと固めの合成皮革張りの木製の椅子であちらこちらが破けて中から汚れた黄色いスポンジがはみ出しているに違いない。もちろんたぶん座席シートは何度も綺麗にされているだろうけれど。。。
そして映画館入り口を入ると右側の暗がりの中にに売店があって,映画のパンフレットと一緒にスナックやラムネ,そしてアイスが売っている。売っているのはちょっと愛想がわるそうな感じの売り子の制服をきた女性。そんな想像をしてしまうような映画館である(あくまでも想像です)。
そんな映画館の内部を入り口から少し首を突っ込んで眺めてみたかったけれど,ちょうど上映が終わった時間かなにかで,中からぞろぞろ人が出てきたので,入りそびれた。そこで映画館の正面に立ってみていると,少し派手なシャツに白いジャケットを着た一人のカッコいいおじいさんが出入口から現れるのを見た。
まさか,あの人では?なぜこんな長野に?私は興奮して身体が小さく震えた。私はなんども見直して確認した。しかし,その人はやはり伝説のアクションスター・倉田保昭だったのである。
すぐにネットで調べて「帰ってきたドラゴン」の上映とともに倉田氏のトークショーが相生座で開催されていたことを知った。トークショーに参加した人たちと映画館の看板の前で一緒に写真を撮っている。「すごい,すごいよ」と興奮したのだけれど,トークショーに参加していない私としては近くによって一緒に写真を撮っていただくこともできず,ただ遠巻きに眺めるだけだった。しかし,本当に感動した。あの和製ドラゴンを直に目にすることができるとは。。。
残念ながら若い人たちは倉田保昭の偉大さを理解していないので,私の興奮がわからないらしい。そこで研究室の学生に,「ブルースリーの友人」。「ヌンチャクをブルースリーに教えた(と言っている)人」だけでなく,「Gメン75」で香港カラテシリーズではあのヤンスエ(「燃えよドラゴン」で「ボロ」と呼ばれていた筋肉ムキムキのアクション俳優)とも何度も戦っている世界的な俳優だと説明したのだけれど,全然ピンと来てくれない。時代劇だって多くの作品に出演している。「影の軍団」では千葉真一のJACとの共演にしびれたなぁ...とにかく素晴らしいアクション俳優なのだ。
若い人たちの反応を見ていると,倉田氏の評価は実績に比べあまりにも低いような気がする。御年78歳らしい。ネット検索の画像をみるといまだにハイキックを蹴っている姿を見つけた(私はとうに蹴れなくなっている)。まだまだ現役,ぜひ後進を育てていって欲しい。特に最近アクション俳優が少なくなっているように思う(日本だけでなく世界的に)。ぜひ彼のあとを継ぐような次のスターが出てきてほしいものである。