2025年4月26日土曜日

そこにはない車のキーを回してしまう

 数か月前に車を買い替えた。いろいろ事情があって,10年以上,19万km以上乗った愛車を手放して,新しく車を購入したのである。

最新の車種であるので,当然スマートキーとなっている。車の鍵はポケットに入れたまま,ドアに手をかければ自動的に開錠されるし,そのまま運転席のボタンを押せばエンジンがかかる。車をかえて2,3か月。まだその動作にぎこちなさが残る。

しかし,習慣というのは恐ろしい。環境が変わっても無意識に動作を行ってしまう。車は替わったけれども,以前の車と同様の動作を繰り返してしまう。特に停車後,エンジンを止める際に,無意識にハンドル脇に右手を伸ばしてしまう。そして,そこには無いキーをつまんで回そうとする動作を行ってしまうのである。そしてそのたびに,そこにはなにもないことに気づいて苦笑する。やれやれ,と思う。

スムーズに車のエンジンをかけ,止める動作ができるようになるには,あとどれだけの時間が必要なのだろう。人間の無意識に染みついた動作の習慣を,シミ抜きのように薄くするのはそう簡単ではないらしい。そう思うと前の車と一緒に過ごした時間の長さをあらためて実感し,また愛おしく思う。

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