9月6日,7日は,新潟市の朱鷺メッセで開催された「ぼうさいこくたい2025」に参加してきた。大学の「地域防災実践研究センター」として,新潟県のぼうさいフェアとあわせて,展示を10件も出展していたので,そのうちのひとつ「雪と倒木のデータプラットフォーム」の担当として説明に立っていたのである。
各展示の内容については,センターのウェブページを見ていただくことにして,今回は「ぼうさいこくたい」の印象について少しだけ書き残しておく。
「ぼうさいこくたい」は「こくたい」の名前通り,1年に一回,各都道府県を回りながら開催される,防災,減災などに関わる取り組みについて発表し,技術交流・意見交流をすることが目的の展示会である。各自治体,インフラ,NPOなどの情報交換の場になっているだけでなく,企業などにとっては商談の場となっている。
一昨年は横浜,昨年は熊本開催,今年の新潟で10年目の開催ということになるが,今回の新潟開催では過去最高の400を優に超える展示の申し込みがあったとのことである。また来場者も1万9千人以上あったとのことで,近年の災害の高頻度化,激甚化を背景に年年注目が高くなっているのは間違いなさそうである。
初日には,坂井内閣府特命担当大臣,花角新潟県知事,中原新潟市長などが列席されてオープニングセレモニーが行われ,翌日には,愛子様がいらっしゃった。私は愛子様が参加されたセッションのひとつ(能登半島地震の現場からという話)に一緒に参加させていただいたので,愛子様のお姿を拝見することができた(熱心にメモを取られてプレゼンを聴かれていた)。初日,二日目とSPと警察の警備の数は凄かったが。
今回思ったのは,技術者は,現場の声をちゃんと効果的に収集することができているのだろうか,という疑問であった。災害現場にいなかった私たちは,得てして勝手な想像で防災,減災の技術を研究開発しようとしてしまう。そこにはどうしても「見落とし」が発生しやすくなってしまう。本当に重要なサポートはなんなのか,そしてそれを実現するための技術とはどういうものなのか,それらを現場からのフィードバックをもとに考えていくのは至極当然のことである。しかし,こうした災害現場の生の情報は,研究に関わる技術情報と違って学会などにいって比較的容易に入手できるものではなく,一般の方々の中にはいって吸い上げなければなかなか集まらないものなのである。そのためにアンケートなどの聞き取り調査が行われるのだけれど,「災害時に不便であることは当たり前」というバイアスが避難している方々の思考にもかかってしまい,なにかに不便であるという情報が見えなくなってしまうということが起こっているのではないか,という懸念を持ったのである。
今回はそういったことに気づかされたぼうさいこくたいであった。来年は鳥取県の開催とのことである。
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