私には夢がない。夢を探し続けてもう何年になるのだろう。しかし,いまだ人に話せるような夢はまだない。
ここでいう「夢」とは,将来の夢であって,睡眠中に見る夢を指しているのではないけれど,最近は年齢のせいか,夜に見た夢も朝には忘れているようになっていて,そちらの方の「夢」もなかなか話せるものがない。
睡眠中に見る夢には,吉夢も悪夢もあるし,その中には正夢となるものもあると言われている。吉夢には,一富士,二鷹,三なすびと初夢でよく言われる縁起の良いものがよく知られていて,その他にも金運があがるといわれる蛇や龍の夢,偉人が生まれる吉兆となる星がお腹の中に入る夢などがある。
そうした夢の意味を読み解こうとするものが夢占いということになるわけで,夢占いの本やWebサイトは多くあるのだけれど,私は夢占い師に出会ったことがない。古代より,夢の意味を読み解く夢占い師は重用されたようであるけれど,現代では「夢を読み解きます」というだけでは,占いで生計を立てるのは難しいのだろう。
こうした夢が意味をもつ,という話でよく言われるのは,人に夢を語ってはいけないということである。どうも昔は,「夢」というものも売り買いできるモノのように扱われていたらしい。鎌倉時代に書かれた宇治拾遺物語にも夢を買う話が出てくる。
吉備真備が若い頃,夢占い師のところに行ったところ先客の若者がいて,その若者の夢が立身出世をする縁起の良いものだった。吉備真備は若者が占い師に話しているのを耳にして,若者が意気揚々と帰って行ったあとに,占い師を説得してその夢を買うのである。その結果,吉備真備は後年右大臣まで出世したのである。一方,夢を知らないうちに買われてしまったその若者はうだつのあがらない人生を送ったのだという。。。
よい夢は他人に語らない方が良い,ということを示す話である。夢を売り買いする話はどうも東北地方によく残っているらしく,新潟でもそうした民話が採集されたらしい。諸星大二郎の作品にも夢を買うということが出てくるものがあったと記憶している。
夢のない私も同様に誰かの夢を買いたいところであるけれど,資金がない。。。やはり自分で良い夢を見ることが大切なのだろうけれど,吉夢をみようにもそもそも夢自体を見なくなってしまったのだから,本当に寂しい人生である。
0 件のコメント:
コメントを投稿