2025年12月29日月曜日

私の冗談に学生は誰一人笑わなかった

 年をとると,くだらない冗談やダジャレをついつい口にしてしまうのも加齢のせいらしい。もう恥をかくことを避けようとする心,つまり羞恥心の働きが鈍ってしまうからとのことである。私も立派な老人ということになるだろう。

講義では,ときどき冗談や雑談をいうことにしている。講義内容はかたい話ばかりだけれど,雑談を交えることによって,学生の記憶が定着しやすくなると思っているからである(ときどき,雑談の方だけを覚えていて,肝心な内容を忘れている学生もいるけれど)。

今年,講義の中で言ったダジャレで記憶に残っているものを2つ紹介したい(この時点で私の羞恥心は働いていないことがわかる)。

1.電力の講義。三相変圧器の結線(巻線の接続法)の解説をしていた。Y結線,Δ結線と説明して,「まぁ,結線の講義は金曜日」と言ったのだけれど(電力の講義は金曜日。もちろんドリカムの「決戦は金曜日」という名曲を頭においてのダジャレ),聴講していた学生は誰一人笑わなかった。誰一人眉ひとつ動かさなかった。その日,心が折れた。(あとで調べると,聴講している学生は大学2年生で20歳そこそこ。「決戦は金曜日」の発売は1992年,彼らが生まれる前のヒット曲だった。仕方ない...)

2.これまた別の電力の講義。発電所の主力機器である同期発電機の解説。発電機の冷却には水素ガスが使われている*と説明したときに,「水素で,界磁巻線はキンキンに冷えている。カイジだけに」と言ってみた。数秒遅れて,学生たちの冷たい笑いが表情に浮かんだ。その日も心が折れた。(一応,カイジの名言は学生たちも知っていたらしい)

と,まぁ,やっぱりクオリティが低かった。。。

昔,日本原子力研究所に入所した際,新人研修で理事の話を聞いた。そのとき,「宮本武蔵は実は東京の小金井市出身」との”フリ”が講話の最初に入り,話の最後に「ところで武蔵はお通さんとの間に子供はあったのかな?」と後輩が尋ねてきて,理事が「いや,いなかっただろう。なぜって出身が「武蔵小金井(武蔵,子がいない)」だから」と答えたというオチで締めくくったのをよく覚えている。彼はその洒落を「駄ジャレ」ではなく,「秀ジャレ」と呼んでいた。このとき,私はそのオチに大笑いしたのだけれど,周囲の同期は誰一人笑わなかった。私は気を遣ってそのシャレに対して大笑いした,と思われたから,その理事の話が終わった後に,同期から「三浦は将来出世するよ」と言われたものである。でも私が大笑いしてしまったのは,愛想笑いでもなんでもなく,官僚から天下ってきたその理事が,そんなくだらない洒落をいって,なおかつ,秀ジャレと称していること自体が滑稽だったからである。(彼がそれを最初から狙っていたとしたら,相当な手練れである)

しかし,私が今年話した冗談も,彼が話した「秀ジャレ」レベルであると反省。

来年はもっと面白い「秀ジャレ」を思いつきたいものである。

*水素ガスが空気の代わりに使われている理由にはいくつかあるけれど,1. 比熱が空気よりもずっと高い,2. 熱伝導率も空気よりも良い,3. 空気よりも密度が低く,回転子の風損がずっと少ない,4. 不活性ガスなので絶縁物の劣化を抑えられる,5. 放電開始電圧が高い,などの特徴から冷却効率が高く,装置の小型化を望めるからである。

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