息子が学校で,ゲルマニウムラジオを
作っているという.
どうも理科の空いた時間に,
先生のご指導のもと,作成しているらしいのだが,
それを聞いて私は大変嬉しくなった.
いまの電気系の学生の中でも
ゲルマニウムラジオを作ったことがある人が
どれだけいるのだろう.
たぶん,そんなに多くはない,
いや少ないはずである.
現代の受験勉強においては
そんなに悠長なことをやっている時間はないだろうから.
私は,小学校6年のときだったろうか,
いやすでに中学1年になっていただろうか,
ゲルマニウムラジオを作ったことがある.
たぶん学研の「科学」という雑誌の付録だったと思う.
ゲルマニウムダイオードと小さなセラミックコンデンサ.
そして,鉄心の位置をスライドさせることによって
インダクタンスを変化させることができるチョークコイル.
そう,周波数のチューンは鉄心の位置で決めるのである.
それらを銅線でつないで,クリスタル・イヤホンで聴く.
アンテナを部屋の中に張り回し,
そっとコイルの鉄心を動かして選局をする.
初めて音が聞こえてきたときの感動は今も忘れられない.
だって,電池もないのにイヤホンから音が漏れるほど
大きな音量でラジオが聞こえてきたのだから.
なにもない空中に電波が飛び交っていて,
そこにはエネルギーが満ちているということを
実感した瞬間だった.
私は新潟に住んでいたので,新潟の地方局の他,
関西の毎日放送などのラジオが聞こえた.
そして,なんといっても大音量なのがモスクワ放送.
当時はソ連の国営(今もかな?)で,すごい出力で
海外向けに放送をしていたのだろう.
とにかく感動した.
適当に作っても鳴るのだし,
トランジスタも,真空管も使っていない,
本当に単純なラジオなのにである.
今も機会があれば作りたいと思っている.
「ぼくらの鉱石ラジオ」(筑摩書房)
という本も買った.
ゲルマニウムダイオードでなくてもいい.
非線形特性をもつ鉱石であれば,
そこにピンを刺すだけで検波器になるのである.
あぁ,自分だけの鉱石ラジオをいつか自作したい.
そう思っているのである.
息子のゲルマニウムラジオの大きな障害は,
クリスタルイヤホンであるらしい.
現在,入手が困難とのこと.
ネットで買うか,秋葉原か日本橋で買うか...
ぜひ息子にもあの感動を味あわせてあげたい.
なんとかクリスタルイヤホンを入手したい.
そう心に決意したのであった.
2011年3月4日金曜日
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