火曜日(3/22),燃えるように忙しかった.
やはり連休明けは仕事が多くなる.
なんとかヘロヘロになりながらも乗り越える.
昨日水曜日,核融合科学研究所に出張.
ミッションを果たし帰ってくる.
昨晩は,ぐっすりと眠ることができた.
これから少しは自分の時間がとれるだろうか...
さて,相変わらず原発の事態を
祈るような気持ちで見ている.
昨日の出張の際も話題が出たのだが,
東京電力の電力不足を機に,
これからの電力システムのあり方が
今後検討されていくだろう,ということ.
昨日にかかわらず,ネット上でも
いくつか話が出てきているので,
このブログにおいても,わかる範囲で
書いてみたいと思う.
Q. 60Hz圏内の電力を50Hz圏内に融通できる
周波数変換装置を増設することは考えられないか.
先に説明したとおり,60Hz圏内の電力を
50Hz圏内にはそのまま送ることはできない.
周波数を50Hzに変換するためには,
半導体を用いた周波数変換装置が必要である.
(昔は機械式の周波数変換機もあったようだが)
増設することによって,現在100万kWに制限されている
融通電力をもっと増やすことはできないか,という話である.
こうした話は,現在の状況をみれば,
当然出てくるものだと思う.
しかし,私は以下の理由で,周波数変換器の増設は
可能性が低いと思う.
1) コストが高い.
変換器1 kVAの容量あたり5万円の建設費がかかるとする.
(一般的に言われている値よりは少し小さいかもしれない)
100万kW増設するとすると,その建設費は500億円に達する.
原子力発電所の建設費が100万kW程度で3000~4000億なので,
安いように思えるかもしれないが,周波数変換器は
あくまでも電力を融通するだけで,電力を生み出さないのである.
融通した電力は他の電力会社から購入しなければならない.
こう考えると,別の発電設備に投資した方が得である.
2) 設備利用率が悪い.
こうした周波数変換器が運転されるのは,
あくまでも電力不足などが生じた緊急事態のみである.
通常時,各電力会社は,その管内での需給バランスを
とるように電力系統を運用しており,他の管内から
電力を定常的に融通するようには考えられていない.
周波数変換器を増設した後,東京電力が
発電能力を回復し,需給バランスがとれるようになったとすると
周波数変換器は運転を休止することになる.
これまで同様,運用期間は本当に一年の間にわずかなものに
限られることになる.
設備の利用率(稼働率)が低くなることになる.
巨額なコストをかけておいて,使わないという状況が訪れる.
やっぱりそれだったら別の発電設備を
建設する方が得だと思われる.
3)建設には時間がかかる
増設すると決まっても,すぐにできるわけではない.
大型の半導体素子を大量に発注しなければならない.
たぶんサイリスタ系の素子が使用されるのだろうけど,
大容量サイリスタは日本ではもう作られていない.
(現状の装置の交換部品分はあるだろうけれど)
海外発注,それも大量発注なので,
数が揃うまでには相当な時間がかかることが
予想される.
ということで,周波数変換器の増設は
今回の事態を受けて,少しはあるかもしれないが,
大容量の増設はないものと考える.
パワーエレクトロニクスを研究しているものとしては,
パワーエレクトロニクスが活躍する装置へのニーズは
うれしいのだけれど,今回については
あまり得策ではないようだ.
#しばらく,こうした技術的な話が増えるかもしれない.
2011年3月24日木曜日
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