昨晩,帰宅の車の中で,バッハを聴く.
J.S. バッハ,
無伴奏バイオリンパルティータ1,2,3番
ギドン・クレーメル
このCDは,深夜に運転する際に
よくプレイヤーにかける録音である.
昨晩,パルティータ第2番のシャコンヌを聴いていて,
あらためてこの曲の素晴らしさに身震いがした.
クレーメルのビブラートの少ない,ざらついたような
演奏を聴いていて,それでも突き抜けたような
美しさを感じる.
この曲は名曲と誉れ高いけれど,何度耳にしても
全く俗にまみれない,純度の高い音楽である.
バッハがもし生涯にこのシャコンヌしか
作曲しなかったとしても,音楽史にその名を
残したに違いない.
無伴奏バイオリン曲で,至高の一曲といっても
過言ではない作品である.
本当に純粋な,氷のように
冴えきった曲なのだけれども,
そこには何かしらの人生の意味を感じてしまう.
バッハはこの曲を作ったとき,
なにを考えていたのだろうか,と思う.
このシャコンヌは,やはり大変人気があって,
クレーメルはどこへ行ってもこの曲を
演奏してくれと頼まれるので,
いささか困ると,どこかのインタビューで答えていた.
(グスタフ・レオンハルトが,どこへ行っても
バッハのゴルトベルク変奏曲を演奏してくれと
いわれて困ると話していたエピソードを思いださせる)
映画音楽でも,何度も取り上げられているし,
「無伴奏 シャコンヌ」という映画も作られたくらいである.
(因みに劇中の演奏は,クレーメル.私は残念ながら未見)
ブゾーニもピアノ版に編曲しているし,
ストコフスキーはオーケストラ版に編曲している.
(小澤&サイトウキネンオーケストラの録音は
斎藤秀雄編曲版?)
しかし,やっぱりこの透徹した美しさは,
バイオリンのソロ曲に敵わないと私は思っている.
昨晩聴いていた時も脳天に抜けるように
ゾクゾクする感動があった.
そして,突然ある考えがひらめいた.
それは,これからの生活に大きな影響を与えるような.
全く違うところから,啓示が与えられたのである.
あぁ,音楽って本当に素晴らしい...
この曲には多くの録音があるが,
私が愛聴しているのは,このクレーメルの旧い録音と,
無伴奏ソナタ3曲・パルティータ3曲をあらためて
録音した新録音の2つである.
新録音のクレーメルの演奏も非常に素晴らしい.
旧録音の即物的さは陰をひそめ,
暖かい演奏が聴ける.
そして,ところどころに訪れる
休止の美しさに言葉もない.
ただため息をつくだけである.
バッハには,他にも神がかり的な曲が
いくつもある.
彼は一時期,音楽の神の
極めて近くまで辿り着いていたのは
間違いないのではないかと思う.
神の臨在を実感させてくれるのが
こうした名曲であり,
その名演奏に触れることにより,
聴く人に啓示が訪れる,
ということもあるのかもしれない.
#ちなみに,無伴奏バイオリン
ソナタ,パルティータの6曲の
すべてが名曲揃いである.
第3番のガボットも有名曲.
ぜひ聴いてみてください.
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三浦さん今晩は!! ≪バッハの無伴奏パルティータに、神の臨在を感じた!!≫とのお話、貴兄は素晴しい感性をお持ちですネ!! バッハ夫人、アンナ著(と言われる)【バッハの思い出】(小学館学術文庫)を読むと、バッハの作曲姿勢がうかがわれます。是非ご一読の程。同書によると、バッハは弟子達に≪作曲する時に、絶対に鍵盤に触ってはいけない、静かに天に鳴り響く音楽を聞きなさい!!≫とたしなめ、勿論自身も触れなかった・・・と。考えられない事ですが、バッハ夫人に因れば、≪彼は天の音楽を聞いた後、飛ぶようなスピードで、書いていた。彼は作曲をしたのでは無く、天の音楽を【写譜していたのだ・・・】と。≫ 不世出の大天才なんですネ!!
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