2011年4月19日火曜日

なぜ太陽光発電には蓄電池が不可欠なのか

先日書いた原発1基分の太陽光発電が
どのくらいの量になるか,という記事について,
いろいろとコメントをいただき,有り難うございました.

これからいただいた技術的なコメントに対して
私の考えを少しずつ書きたいと思います.
(数日に分けて,とびとびで)

Q. 太陽光発電はピーク電力に使用すれば
良いので,蓄電池は不要なのではないか.

A. 太陽光発電が将来大容量導入され,
総発電量のある程度以上を占めるようになれば,
蓄電池は必要となります.
まして原発の代替として,太陽光発電を考えるのであれば
安定な供給実現のために蓄電池は不可欠です.
(そうでなくても,電力系統の安定性のために必要)

確かに太陽光発電は,夏場の需要のピークに近い時刻に
最大の発電量が見込めますから,なんだか良さそうに思えます.
しかし,以下の問題があります.

1)夏場でも発電ピーク時と需要ピーク時には,
数時間のズレがあるのをどうすれば良いのか.

2)冬場の需要のピークは夕方16:00以降にあるが,
どうするのか.

3)そもそも雨や曇りだったら,どうするのか.

1),2),3)の問題を解決するために,
蓄電池が必要なのです.
そうでなければ...
計画停電などの対策が必要になります.

特に3)の問題が厄介です.
日本には梅雨があり,10日くらい
雨や曇りが続いたりします.
この間,蓄電池は太陽光発電の代わりに
電力を供給しなければなりません.


電力は発電する量と使用する量(負荷)が
バランスしていなければならないという原則があります.
バランスが崩れると周波数が変動し,
それが許容量を越えると
系統内の発電所が次々と切り離されていきます.
(実は,風力発電,太陽光発電も,一斉に切り離されてしまう,
という問題を持っています)
電力が足りなければ,停電に至るのです.


たとえば,家庭の電力消費の20%を
太陽光発電で賄うとします.
家庭の一日の電力消費はおよそ10kWhですから,
その20%を10日分,すなわち20kWhの電力貯蔵が
必要となります.
そして,その電力を,雨の日が続く前の日までに,
貯蔵しておかなければならないのです.
(当然,毎日夜間に使う電力は別に使っています)
S社製の1.6kWhのリチウムイオン電池ユニットが
50万円程度ですから,どれだけ大変なことか
わかると思います.

電気を使わなければいい,という意見をよくネットで見かけますが,
(もちろん節電努力は最大限行うべきですが)
工場などの産業,病院や学校などの公共施設などは
どうすればよいのでしょう.
工場などでは,20%電力を使用できなければ,
20%ラインが稼働せず,20%損失が生まれることになります.
それは回りまわって,経済全体に波及し,
私たちの給料や雇用に影響を及ぼすことになるのでしょう.


実際には,雨季に関わらず,
晴れていても雲がかかれば,
太陽光発電の出力は大きく変動し,
太陽光発電の発電カーブはまるで櫛の歯のように
ギザギザになってしまい(出力が急激に増えたり減ったりする)
これも蓄電池などで補償することが必要だと言われています.
さもなければ,電力系統の電圧や周波数を適切に
制御することができません.

現在は,太陽光発電の出力の変動は
電力会社が自社の発電設備などで吸収しています.
しかし,今後太陽光発電が占める割合が増加すれば,
電力会社の調整力では不足することになることが予想されます.
結局,太陽光発電を導入する事業者などが独自に
蓄電池などの電力補償装置で補償することが求められるでしょう.
(風力発電も同様です)


このようにコストはかかりますが,
太陽光発電で安定した電力供給を得るためには,
蓄電池のような電力貯蔵装置は不可欠なのです.
セットで考えなければなりません.

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