2010年5月25日火曜日

「ゲゲゲ」をみて,マンガ文化を思う

今朝,NHKの朝ドラ「ゲゲゲの女房」をちらりと見た.
私は,ほとんど9割方見ていないのだけれど,
実は結構面白く,気になっている.

なんというか,ストーリー展開が落ち着いているし,
出てくる俳優のみなさんもしっかりしている.
安心してみていられるドラマなのである.
初回は視聴率が低いと新聞に出ていたけれど,
なんとか持ち直して欲しいと思う.

さて,今朝の話では,水木しげるがいくつかの
出版社に漫画を持ち込むのだけれど,
妖怪漫画じゃ売れない,と断られていた.
すでに「墓場鬼太郎」は出版され,
「鬼太郎物語」も巻を重ねていたというのにである.
ちなみに,売り込みしていた漫画は
「河童の三平」だったが...
つまり,当時はアクションものが全盛で,
鬼太郎のような妖怪漫画は全然売れず,
出版社としても引き受けることができない,という
時代だったのである.
昭和37年(らしい)という時代が,
鬼太郎を読むには早すぎた,ということなのである.

このドラマを見て,現代はいかにマンガに寛容な
時代になったのかと思った.
今のマンガは,極論をすればストーリーがなくても
平気である.
題材も,恋愛,恐怖,アクション,政治となんでもあり.
それらを享受できる私たちはなんて幸せなのだろう.

ここまで日本の読者が育ってきた,ということなのだろう.
日本のマンガは,大変に深い.
単純なアメリカン・コミックとは大きくその内容を画する.
最近は,マンガは世界に誇る日本の文化だということが
一般に認められてきたけれど,
昨日,今日のドラマでも,漫画なんか書いているヤツはダメだ,
という話が出ていた.
50年前はそうだったのである.
50年をかけて,今の読者の土壌ができてきた.
この長大な時間によるマンガ文化の発酵と,
それを支えてきた(無名・有名関わらず)漫画家と読者の努力に,
頭が下がるのである.

#私が最近読んでいるのは,「結界師」,「バガボンド」.
今更ながら「20世紀少年」(あと21世紀少年2巻を残す),
「のだめカンタービレ」.
マンガでなくアニメとして「鋼の錬金術師」というあたりか.

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