全くの私事なのだけれど,父が先日亡くなった.
以前から体調はひどく悪かったのだけれど,
また手術が必要となって,その後の回復までの
体力がなかった.
結局忌引きを含めて10日間くらいお休みをいただいた.
関係各位には本当にご迷惑をおかけいたしました.
お陰様で,父の最期を看取ることができた.
眼前において人が息を引き取るところを見たのは
今回が初めてである.
人の最期というものは,本当に突然に,
そしてあっけなく訪れるのだということを,
思い知ることになった.
人の存在がこの世から無くなる瞬間は,
なにも特別なものではなかった.
ただそのときはどこからかやってきて,
その存在を引き連れてどこかに去ってしまうのだ.
本当に自然に.
そしてそれは毎日のいつのときでも
存在している瞬間なのだ.
こうしているときも,どこかで誰かが
この世を去っている.
もちろん私たちの心には記憶という「慣性」があって,
すくなくとも私がこの世に存在している間は,
父は,記憶の中に存在する情報として存在し続ける.
しかし,それも数十年のうちに風化していくのだろう.
しばらくは,それらの生々しい記憶のおかげで,
父の不在を実感することはできないだろう.
しかし,心の中に染みのような小さな黒い穴が
開いたのは確かで,
それが時間とともにじわじわと
広がっていくことを私は恐れている.
私の心も悲しみに侵食されていくのだろうか.
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