今日はこの訃報でもちきりだった.
Steve Jobsが亡くなった.
56歳の若さだったという.
私のように,以前アップルの製品を使う人たちが
鼻についていたような人間であっても,
彼がいなくなると本当に寂しく感じる.
博士課程の学生時代,私の机には
MacのClassicが乗っていた.
それまで,UNIXやMS-DOSなどの
コマンドラインでPCを操作していたのだから,
MacのGUIには,ずいぶん感激した.
フロッピーディスクを取り出す操作は,
フロッピーディスクのアイコンをゴミ箱に捨てれば良かった.
なんとスマートな操作であったことか.
残念ながら容量不足で,博士論文は
MS-DOSマシーン(Dynabookのラップトップ(!))で
TEXで書くことになったのだけれど,
それでもMacは確かに使いやすかったと思う.
(論文締切寸前にSad Macが現われて,
Hard DiskがCrashしたときは,本当に泣きそうだったけど)
Appleというのは,本当にスマートだった.
(でも,Appleがスタンダードだった核融合研究界においても,
私は上司とともに反旗を翻し,Windows95に乗り換えたのだけれど...)
しかし,今回思ったのは,ジョブスのような人は,
日本では決して生まれなかっただろうということ.
ガレージからPCを製作したという話は有名だけれど,
たとえばitunesひとつとったって,
音楽のネット販売なんて,日本では全然話が
進まなかっただろうと思う.
今だって,著作権問題がうるさくて世界でも最も
閉鎖的な市場のひとつになっている.
なのにitunesでは,ビートルズでさえ購入できるのだ.
アメリカという国のすごいところは,
みんなが「将来はそちらの方向に進むのが
正しいだろうなぁ」と思ったら,ちゃんとそちらの方に
社会や制度が変わっていくところである.
ネットの制度もどんどんアメリカでは変わっていった.
一方,日本ではどうだろう.
既得権益者の保護のために,市場は閉鎖的で,
そのうちに縮小してダメになっている...
こんな社会制度の中では,
いくらジョブスでも成功しなかったに違いない.
そもそも学歴を持たない彼が成功したのもそうだ.
アメリカという国に彼が生まれなければ,
いまのこの世界は無かったのだ.
そう思うと,その幸運を有り難く思う.
彼が日本に生まれなくて良かったと思うとともに,
この国の将来の暗さも思うのである...
2011年10月6日木曜日
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