なぜ世界はここまでゾンビが好きなのだろうと不思議に思う.そうでなければ,このように毎年大量にゾンビ映画が製作される説明がつかない.
私も最近では"Zombieland"を観て大いに楽しんだけれど(実はこれは青春お笑い映画だったのだが),バイオハザードシリーズといい,多くの作品のリメイクといい,ここ数年,少し常軌を逸しているくらいにゾンビ映画が溢れている.そして,多くの人がそれを求めている(The Walking Deadも早く日本で放映されないかな).
その理由は,世界が破滅願望に満たされているからではないかと私は思う.この閉塞した世界,先は見えないし,かといってバラ色の人生なんてもはや望めない時代,多くの人が「リセット」願望を意識的あるいは無意識的に持っているのではないだろうか.だからこそ,理解を越えたモノが人間世界を破壊し尽くすストーリーに狂喜するのではないだろうか.
古来,人はカミやモノを恐れていたけれど,それにはどこかに救いもあったのではないかと思う.一度インドのシヴァ神などの破壊神の存在は,その願望の反映ではないだろうか.ほぼ成熟・固定してしまった社会システムは人間の未来を奪うように感じられる.そんな社会に人間は長くは落ち着いていられないのではないんだろうか.だから,社会に変化を求める願望が破壊的な行動につながるのもわからないでもない(もちろん,そんなことがあったら大変困るのだけれど).そうした無意識の願望が有り続ける限り,ゾンビ映画は作られ続けるのだろう.
マクラが長かったけれど,"World War Z"の予告編を観た.ブラッド・ピット主演のゾンビ映画である.ブラピがゾンビ映画に出るというだけでも驚きだったのだけれど,予告編を観てすごく興味が湧いてきている.ゾンビが昆虫かネズミのように集団暴走して街を破壊していくシーンが印象的だ.やはりここでもゾンビは全力で走る(ゾンビが走るようになったのは,Dawn of the Deadあたりからだったろうか).ゾンビの群衆が暴走してバスを倒し,塀をよじ登っていくのである.見ているだけでぞっとしてくる...単なるホラー映画ではなさそうだし,ブラピの演じる主人公も魅力的だし,かなり惹かれる映画なのだ.
私もスプラッタは嫌いだけれど,ゾンビ映画は大好き.世界にゾンビファンがどれだけいるのだろう.ゾンビが発生するZ-Dayの到来がまことしやかにささやかれ,ゾンビが世界を占拠する状況でどのように生き残るかというHow To本も出版されている.それだけ彼らは魅力的なのだ.これからもずっと彼らは人間に脅威を与え続ける存在であり続けるのだろう.
#ゾンビってもともとブゥードゥー教の話ではなかったのだっけ?だから,ウィルスによるものはLiving Deadと呼ぶべきなのだろう.哲学的ゾンビの話も面白いが,それはまたいつかの機会に.
2012年11月14日水曜日
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