2013年1月13日日曜日

「今夜はブギーバック」が名曲であること,そして私の渋谷系との出会いであったこと

最近,加藤ミリヤという人がカバーしている「今夜はブギーバック」を耳にする機会があった.久しぶりにこの曲を聴いたのだけれど,やっぱりいい.私は小沢健二が大好きなのだけれど,なかでもこれは名曲中の名曲.何度聴いても,そして大概の人のカバーを聴いても良いと思ってしまう.そして今回のこの加藤ミリヤの曲も素晴らしいと思ってしまった.

もちろん,オリジナルはスチャダラパーと小沢健二(オザケン)のもので,ヒットしたのは1994年.私もまだ学生だった(とはいっても博士後期課程の学生だったけれど).初めて聴いて,この曲の美しさとラップパートのノリの良さに,一発でやられてしまったのだけれど,今もその殴られた後遺症が続いているような気がする(パンチドランカー状態?(笑)).

オザケンの魅力に目覚めたのは,渋谷のWAVEだったと記憶している.もちろん,それ以前からフリッパーズ・ギターも知っていて,そのセンスの良さには注目していたのだけれど,解散してからのオザケンには少し距離があった.それが,渋谷WAVEでCDを選んでいるときに店内に流れていたのが,「東京恋愛専科・または恋は言ってみりゃボディー・ブロー」だったのである.ヘンチクリンな歌詞とポップなメロディー.あっという間にメロメロになってしまった.当時「渋谷系」という言葉が流行っていて,私はその言葉の軽薄さにファッションも音楽も敬遠していたのだけれど,いつの間にかこの曲のもつウキウキ感に絡めとられて,その魅力から逃れられなくなっていた.

はじめ,このボーカルがオザケンだとは気づかなかった.はっきりいって歌はうまくない.それでもどこかに魅力がある.ついつい耳を傾けてしまう.そんなチャーミングさが歌の内容によく合っていた.そして「愛し愛されて生きるのさ」(「東京恋愛専科...」のカップリングだった)のせつなさに胸がつまってしまう.その頃,私も恋する若者のひとりだったのだ(もちろん,モテなかったけれど).

「今夜はブギーバック」は,オザケンの存在を(そしてスチャダラパーの存在も)一気にメジャーにしただけあって,10年にひとつあるかないかの名曲ではないかと私は思っていて,「ダンスフロアにはなやかなひ~かり~」とあの甘い声が聞こえると,一瞬でその歌の世界に引きこまれてしまう.ラップのノリの良さと,繰り返されるメロディーに麻薬のような中毒性がある.なんどもなんども聴いたものである.

名曲であることは,今回の加藤ミリヤをはじめとして多くのアーティストにカバーされていることからもよく分かる.数年前には,ハルカリもCMソングでカバーしていたし,オザケンは自分自身でも同曲をカバーしている(もっと大人の感じがするバージョンになっている).そんな数多いカバー曲の中で私のオススメは,(たしか)スチャダラパーのアルバム「サイクル・ヒット」に収録されているバージョンである.ボーカルはなんとフリッパーズギターの相方の小山田圭吾.まるでオザケンにあてつけるように,オザケンよりもさらに甘く甘く歌い上げている.やっぱりオザケンと小山田圭吾は仲が悪くてフリッパーズは解散したのだろうか,などと勘ぐってしまうほどの嫌味な,そして素敵な名カバー曲である.未聴の方はぜひお試しあれ.

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