B'zの歌ではありません.
容易に得たものは,同じく容易に失いやすい,ということ.
最近の若い人は(定型句),すぐ楽をしようとする.しかし,楽をしているかぎり,それは身につかず,すぐに手放さざるを得なくなるということが理解できていないのではないだろうか,と思うのである.
合氣道の藤平光一先生が,よく講習会で言われていた.正しいことを教えると,それで技ができるようになる.それで満足してしまう.しかし,実際に技として使えるためには,それを一生懸命身につくまで稽古しなければならない.そうでなければ,すぐにできなくなってしまう.結局,Easy come, easy go. だ,と.
技術を自分の身につけるためには,何らかの痛みを代償にしなければならないのではないかと思う.それは,努力であり,苦労であり,感動であったりする(感動は心に傷をつけることかと思う).そうしたものがなければ,すなわち「身銭を切って」得たものでなければ,その技術は使いものにならない,あるいはすぐに失ってしまうのではないだろうか.
たとえば,卑近な例をあげれば,英単語.なんども同じ単語を辞書で調べてしまう.ある単語の意味を辞書で確認したら,すぐにもともとの本題に戻ってしまう.そこで何か工夫をしていなければ,すぐにその意味を忘れてしまう.そして同じ単語が出た際に,調べたことは覚えているけれど,単語の意味は忘れている,ということがしばしば起こる.これは,辞書を引く際に,なんの痛みも無いからである.この傾向は,電子辞書を使うようになってますます加速している.単語を調べることがますます楽になっているからである.
Googleなどの検索もまさにこれである.すぐに答えがWeb上で検索されるから,その答えの意味が身につかない.どんどん忘れていく.これを防ぐためには,自分に負担をかけるなにかの工夫が必要なのである.
さらに考えると,研究における回路のシミュレーションもそうである.回路シミュレーションが走れば,それでひと安心してしまうが,一体どれだけの技術がそれで身につくのだろうか.やはり試験装置を苦労して作り動かすことが,真の技術を身に付けるということにならないだろうか.少なくとも,メーカーなどの現場では,そちらの方がいいに決まっている.
「身銭を切る」という代償によって,ある技術を得る.これは一種の等価交換なのではないだろうか.世の中,やっぱりそうした法則で成り立っているのである.
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