2018年6月17日日曜日

「ミス・シャーロック」 バッハ 無伴奏チェロ組曲 第1番 プレリュード

「ミス・シャーロック」の中では,竹内結子演じるシャーロックは本家のバイオリンと違って女性らしいチェロを弾くことが趣味らしい.

警察に追われるシャーロックが自宅に戻ってチェロを弾いていると警察官が立ち寄る.屋内から聞こえてくるバッハの無伴奏組曲第1番プレリュードに気づき,警察官は家主である波多野夫人(伊藤蘭)にあれは誰が弾いているのかと尋ねる場面があった.波多野夫人は機転を効かせて「ヨーヨーマよ…レコード」と答えたのだけれど,ヨーヨーマにしてはゆったりとした弾き方すぎる!と私は思った.彼はもっとスラスラと弾くタイプの演奏なはずなのだ(そもそも警察官は,生音とステレオの音の違いもわからないのか,という問題は別にして).そこで,少ししっくりとこない気持ちを感じた.

そしてシャーロックがその曲を弾いていると,今シリーズの黒幕である斉藤由貴演じる入川真理子がその部屋にこっそりとやってくる.この斉藤由貴の演技がかなり怖いのだけれど,その彼女が一言,「素敵な曲ね」というのである.そこでシャーロックは曲名を答えるのだけれど,私はここでも引っかかりを感じた.犯罪誘導理論だかなんだか知らないが,ケンブリッジ大学に論文を残していくような学者が,こんな初歩的なクラシックの名曲を知らないのだろうか.彼女の知性からして,知っていて当然なはずだ.ここでちょっと彼女演じるインテリなはずの犯人にがっかりしたのである.

まぁ,どうでもいい話なんだけど,ちょっと心にひっかかた脚本のアラなのだ.

0 件のコメント:

コメントを投稿

言葉が世界を単純化することの副作用

 人間がこれだけの文明を持つに至った理由のひとつは「言葉」を用いることであることは間違いないと思う。「言葉」があれば正確なコミュニケーションができるし、それを表す文字があれば知識を記録として残すことも可能である。また言葉を使えば現実世界には存在しない抽象的な概念(たとえば「民主主...