スポーツと呼ぶに足りる競技は三種類しかない。それは闘牛、モーターレース、そして登山。他はすべてただのゲームにすぎない
“There are only three sports, bullfighting, motor racing, and mountaineering and all the rest are merely games.”
すなわち,ヘミングウェイは命をかけるものでなければスポーツと呼ぶに値しない,と言っているわけである.「いやいや,スポーツは命がけじゃないから」とツッコミたくなる言葉である.しかし,第2次世界大戦で従軍し,ボクシングをたしなみ,釣りと狩りを楽しみ,スペインで闘牛にぞっこんだった彼には,他のスポーツが生ぬるく感じられたというのも仕方ないような気がする.闘牛についてなんて,「闘牛は死の危険を犯して生み出す唯一の芸術」だとまで言っていて(出典不明でどこかで読んだだけなんだけど),死と隣り合わせなことは非モラルであるけれど興奮するといっている.そこまでやらないと彼には本当のスポーツにはならなかったらしい.
しかし,スポーツというのはそもそも語源が「気晴らし」という言葉なくらいお気楽なものなのだ.そこから考えるとヘミングウェイの言葉は厳しすぎるように思う.私も「武道」と「スポーツ」の違いを訊かれると,そもそもの始まりが違うと答えるようにしている.武道は始まりからして決して気晴らしではないのだ.
でも実際は世界のトップアスリートたちは命がけで競技に取り組んでいる.私みたいなエセ武道稽古者とくらべるのもおこがましいくらいに.そこで私はこう疑問に思う.そこまでして行う競技は「スポーツ」と呼べるものなのだろうかと.それらは決して「気晴らし」ではないのだから.
#ヘミングウェイの短編集を読んでいても闘牛を題材にした話が数多く出てくる.しかし,闘牛といえば,彼には「午後の死」という著作があるらしいけど私は読んだことがない.AMAZONを見ても,該当する本が見当たらない.いつか読んでみたいと思っているのだけれど(そんな暇あるか!),この作品に名前をとった彼考案のカクテルがあるという.この「午後の死」というカクテルは,もともとはなんと「黒色火薬」をシャンパンで割ったものらしい.今ではアブサンをシャンパンで割ったものになっているらしいけれど...
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