今年は1ヶ月に1冊は本を読もうという目標を立てているのだけど,やっぱりそれは難しい。それでも,一般教養として読書の重要性はわかっているつもりだから(読書をしない大人ってどうなの,って思ってしまっている),なんとか時間を見つけて読んでいる。最近,雰囲気の良いコーヒーショップを見つけたので,そこでコーヒーを飲みながら読むことをルーチーン化しようと考えている。
さて,記念すべき2022年の第1冊目は,
「あなたを陰謀論者にする言葉」 雨宮 純 著
である。
この本はネット上で紹介されていたので手にとってみたのだけど,心霊主義,神智学あたりから,ヒッピー文化,カウンターカルチャー,サブカルチャー,自己啓発セミナー,陰謀論,マルチ商法と続く怪しい文化の歴史をわかりやすくまとめたものになっている。近年のオーガニックブームやヨガブームなどのメジャーどころから,最近のトランプ大統領に関わるQアノンや反ワクチン陰謀論までそのムーブメントについて紹介している。
とにかく大作。著者がこの一冊を書き上げるまでにどれだけの資料を読んだのだろうかと尊敬の念を抱く。私も1970年代のオカルトブームくらいからはリアルタイムで知っているのだけど,あらためて知った事柄も数多くあった。例えば,エサレン研究所のワークショップにチャールズ・マンソンが参加していたとか,日本全国に謎の黒い粉が送られてきた事件の真相など,膨大な数の事件の中で主要な事件を取り上げて紹介しており,こうした怪しい話のメインストリームを知るのにたいへん有用である。
私は,オカルト,スピリチュアル,都市伝説,陰謀論が大好きだから,もうワクワクして読んだ。あまりこうした分野に興味のない人にとってみては,もしかすると本書はある意味歴史の教科書のような単調な印象をもってしまうかもしれない。しかし,本書に紹介されているワードを一つでもいいから,少し掘り下げて調べてみてほしい。そこには人間が動かされざるを得ないような魅力的な事柄が見つかることだろうから。私もそうした魅力から逃れられず,常にこうした世界へのアンテナを張り,ついには全国の民話までも興味の対象となっている。
本書は人々が陥りやすい言論,思想,ブームについて,その源流や関連性を紹介し,「これは怪しい」と気づくことができるような内容になっている。そうなることを願って著者は本書を著したと書いているから,その目的は達成されているだろうと思われる。私だっていつそうした世界の罠に陥ってしまうかもしれない。そうした恐れを持ちつつ,本書は,ぜひ百科事典と同様に手元におき,折に触れて参照したい良著である。
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