2011年1月27日木曜日

スマートハウスへの遠く長き道

昨日は,パナソニックの方の
宅内エネルギーマネージメントシステムの
ご講演を聴く機会があった.

宅内エネルギーマネージメントシステムというのは,
HEMS(Home Energy Management System)のことである.
簡単にいうと家庭内の電力消費機器(つまり家電)を
IT技術を駆使することによって,
より効率的に電力を使おう,というシステムである.

たとえば人がいなかったらエアコンの出力を減らすとか,
電力を使いすぎる傾向があれば,
家のシステムが警告を出すとか,
アメリカだったら電力料金がリアルタイムで変わることが
あるので,料金が安いときに洗濯機を回すとか,
そんな便利で効率的な使い方ができるようになる.
(もちろん,自宅外から通信でON/OFF制御することも)

さらに太陽光発電や宅内に充電池,
あるいは電気自動車の充電設備などが導入されて
いたりすると,その制御法は複雑になっていく.
最も購入電力を少なくするにはどう制御したら良いのか?
こうした課題を解決していこうというのがHEMSであり,
日本でもあちらこちらで実証試験が
行われていたりする.

もちろん,これは,はやりのスマートグリッドの
一要素となるわけで,
HEMS(スマートハウス)がまとめた情報は,
上位の地域コミュニティのEMS(CEMS)に
挙げられ(スマートメータとか使って),
さらに上位のスマートグリッドの制御単位によって
熱なども含めた総合的なエネルギーマネージメントが
行われることになる.

スマートグリッドという言葉が話題になり始めた頃,
パワーエレクトロニクスの研究者,技術者は
「何をいまさら」という感想を持ったものが多い.
系統と宅内を結ぶ双方向の電力変換器をはじめとして,
高機能な分散電源(太陽光発電とか燃料電池とか)の
パワーコンディショナとか,蓄電池用の直流変換器とか,
そんな要素技術など,これまでさんざんに研究開発
されてきている.

では,なぜスマートハウスが実現できていないのか.
それは,私の思うに,機器間の通信システム,
EMSの制御アルゴリズム,電力会社との取り合い,などが
障害となっているからだと思う.
この中で技術的な問題は制御アルゴリズムくらいなもので,
結局は社会的な要素,通信の規格とか
電力会社との責任分担などの問題が大きいと思う.

一方,個々の要素である機器の問題は,ずばりコストくらいなものであり,
実現しようと思えば,お金はかかるが実現できるはずである.
コストもいつかは下がってくれるだろう.

結局,当面の問題は,共通規格をどうするかということだろう.
たとえば,家電機器間で通信を行う場合,
エアコンとテレビとIH調理器がそれぞれ違う手段,
規格(プロトコル)を持っていたならば,
HEMSは制御することが困難となる.

通信手段だって,無線か有線か.
無線だったら,ZigBeeか,Z-waveか,IEEE802の何なのか,
はたまた,Bluetoothなのか.
有線だったとしても,LANのブルーケーブルなのか,PLCなのか.
それだって,全然決まっていない.

今後それを,誰が,どうやって,いつ決めるのか?
国際的な委員会や,各国の規格委員会がいろいろと
議論しているようだけれど,各国,各メーカの思惑が
入り乱れて,たいへんな様相を呈しているようである.

しかし,世の中がスマートハウスを実現する方向で
進んでいくのは間違いない.
その流れに先行するタイミングで,
こうした規格は決められていかなければならない.
それが遅れては,市場は混乱し,ユーザは
乱立する独自規格に戸惑い,結局のところ
スマートハウスの実現が遠のいていく.

一体どのように決着がつくのであろうか.
ただ,これは研究者,技術者の手を離れた
問題となってきている.
データや理論で決まらないのだから,
これは本当に困る.

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