私が一番にご恩を受けている合氣道のO先生のお話。
O先生はたいへんご自分に厳しく,自己を律していらっしゃった。しかし,あるときに藤平光一先生が,
「O君は,”春風を以て人に接し、秋霜を以て自ら粛む”ではなく,人に接するときも秋霜を以てしているね」
とおっしゃられたそうである。また,あるときには藤平光一先生自ら
「慈眼温容」
という言葉お色紙に書いてO先生に贈られたと伺った。O先生は眉間にシワを寄せる癖があったということである。
私はこのお話を伺った際には,「そんなものか」と思っていたのだけれど,最近,私自身も「眉間にシワを寄せる」癖がいつのまにかついていることに気づいた。
私はいわゆる人相が悪い顔立ちで,眉間にシワを寄せるなどしたならば相当イヤな印象になっているに違いない。そう思うようになったのは,私とすれ違う人が私に微笑むことが多いことに気づいたからである。特に米国出張のときなど,道行く人たちが私と目を合わせるたびにニッコリとほほ笑んでくれる。そして次の瞬間目をそらすと元の無表情な顔になって歩き去っていくのだ。この切り替えがあまりにもはっきりとしすぎていて笑ってしまうくらいである。
目があったら微笑むことは海外でよくあるマナーなのだけれど,あるときひょっとして私の人相が悪すぎるから,目があった人は「自分は敵意を持っていない」ということを表明するために私に微笑みかけることを意識的に(あるいは無意識的に)行っているのではないかと気づいたのである。たしかに街をあるいていて,ショーウィンドウなどに映る自分の顔をみると確かに眉間にシワを寄せて歩いている。。。
そこでO先生の「慈眼温容」のお話を思い出した。私もいつのまにか無意識に誰かをにらむような表情になっていたのだ。そのことにはちょっと前から気づいていたけれど,昨年末から本気で直そうと心掛けている。しかし,これがなかなか難しい。眉間にシワを寄せてしまうのは常日頃の心の在り方が根本的な問題であることに気づく。本当に根が深いと実感している。