藤平光一先生が講習会の時にお話されていた逸話.
(藤平光一先生は,本当にお話が面白かったなぁ.
うろ覚えで書きますが...)
茶の道で有名な千利休が茶室を作っていたときのこと.
利休は,大工に対しすべてにおいてコマゴマと指示を出していた.
壁に花瓶をかけるための釘の位置についても,
「もう少し上だ」,やれ「もう少し右だ」,と指示が大変細かい.
ようやく「そこだ!」と位置を定めたのだという.
大工は少々腹を立てて,本当にわかっているのか,
利休を試そうと思ったらしい.
そこで,大工はわざと釘を落としてみた.
ただし,落とす前にこっそり,利休が指示した場所に
釘の先で印をつけておいた.
大工は,ゆっくり釘を拾い,また釘をさす位置をさがすふりをした.
わざと,印の付いた位置をよけて,ふらふらと
釘の先を定めないようにしていると,
利休は先程と同様,「もう少し上だ」,「もう少し左だ」と
細かく指示を出す.
そして,釘を落とす前に印をつけた位置に,
釘の先がきた瞬間,
「そこだ!」と利休は言ったのだという.
この話で藤平先生がおっしゃりたかったことはこうである.
正しい技というのは,何度行っても間違いがなく
そのとおりに行われるものである.
少しでも違っていては,それは正しくはない.
それは分かる人が見れば分かるものなのである.
ここで藤平先生がおっしゃるのは,技の形ではなく,
その技の理のことをおっしゃっていたのである.
そして,このことは,もちろん合氣道の技に限らない.
「正しい」ことは,何度行っても「正しい」のである.
こんなふうに藤平先生にうかがった話を思い出す.
私の毎日の生活の中に,その教えは活きていると信じたい.
2011年5月25日水曜日
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