今日の輪講で,Intelのプロセッサ8086の話題が出た。
1985年に8086を用いて,パワーエレクトロニクス回路の
DDC(Direct Digital Control)を試みたという話だった。
若い学生はもちろん知らない。
しかし,私にはずいぶん懐かしく感じられた。
私が中学生時代にパソコンブームが訪れ,
NECのPC9801シリーズに搭載されていたCPUが8086だった。
その後,80286,386,486と次々と開発され,
Pentiumに続く現在までのインテルの系譜がある。
これが現在のx86の表記の元となっている。
そのころ対抗といえば,Motorolaの68系だった。
68000, 68020, 68030とシリーズが出ていた。
Macintoshが採用していた(と聞いていた)けれども,
とても高価で手が出せなかった。
(PC98シリーズも大変高価で高嶺の花だったが)
そう考えるとコンピュータの進歩はすさまじいものがある。
まぁ,「ムーアの法則」が成立しつづけているのだから,
この分野の成長速度は異常である。
そして思い出したのがZ80。
8080互換のプロセッサで,
メカトロニクスには不可欠のプロセッサだった。
私もメカトロニクスの成績は悪かったけれども,
一生懸命ニーモニックでコーディングしたものである。
(ハートの形にならべたLEDが順次点灯するとか,
そんなプログラム。いい時代だったなぁ)
そういえば,18年ほど前(!),学生の頃,
ある重工メーカで戦闘機トムキャット(F14)の
制御部の生産ラインを見学させてもらったことがある。
そこに使われているCPUはいまだZ80だった。
Z80は1976年に発表されたということだから,
14~15年たっても現役で使用されていた名機だったりする。
(とはいえ,戦闘機の場合は信頼性が一番重要だったりするから,
十分に枯れた製品を使用するのが鉄則である。
一方で入手が困難となるが,十分に在庫があると聞いたような気がする)
Z80のクロック数はせいぜいで8MHz。
4GHzなどが売られている現在から見ると,
時代が変わったのだと実感せざるを得ない。
Z80は最後のころは,
大学生協で売っていたポケコンにも搭載される位になっていて,
少し悲しくなった覚えがある。
とにかく時代は変わっている。
苦労したころの話をしても,
学生のみなさんにはわかってもらえない。
まぁ,それはそれでいい。
しなくていい苦労はしなくていいとも思う。
しかし,アセンブラとかニーモニックとか,
そうした時代はCPUが身近に感じられた。
メモリを節約すること,
計算時間を早くすること,
そうした努力の成果が目に見えて表れた時代である。
現在のアーキテクチャはあまりに複雑すぎて,
ちょっとやそっとでは手に負えないのではないか。
ずいぶん便利になったけれども,
人間の手からは遠く離れていってしまった技術って,
案外に多いような気がする。
便利にするのが工学者の務めだけれど,
それだけで良いのかと,ちょっと思ったりする。
2007年5月28日月曜日
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