2009年9月22日火曜日

ECCE2009, San Jose

アメリカ,サンノゼ(San Jose)に来ている.
パワーエレクトロニクスに関する国際会議
参加するためである.

これは昨年まで,IEEEのPESCと
IASのAnnual Meetingとして別々に開かれていた
国際会議をMergeして開催するものになったものである.
だから今年が第1回目.
どのような会議になるのか興味津々である.

今回は会議の登録者が760人程度,
展示は25件とのことである.
意外に少ないような気がする.
もっと参加者が1000人を越えるような
大きな会議になるかと思っていたのだけれど.
まぁ,以前の会議が大きくなりすぎたので,
このくらいの参加者に抑えようという意図が
あるのかもしれない.

このブログを書いている時点で,
まだ初めのPlenary Sessionが終了したところである.
最初の講演者はTesla Motors
創始者Martin Eberhard氏であった.
電気自動車が抱える問題と将来のヴィジョンを
非常に楽しく紹介する講演で,
会場からは笑いが何度もこぼれていた.

「電気自動車にはイメージが必要だ」
(プリウスもいいけれど,やはり私たちは
ポルシェも欲しい."Porshius"(画面では
プリウスの前半分とポルシェの後半分をくっつけた
車の合成写真)みたいな自動車はできないものか.
ポルシェの写真には水着の女性が車に付き添って,
プリウスの写真にはダサい男性が写っていた.
確かに,そんなイメージかも.
プリウスのウリは,
"I am a better person than you!"
というイメージだそうだ...(笑))

「車のクラッシュは,ソフトウェアの
クラッシュとは大きく違う」
(シリコンバレーの開発の事例を挙げて,
自動車もスマートに行きたいが,自動車と
ソフトウェアでは大きく違うのだという話.
車のクラッシュでは人が死ぬが,
ソフトウェアのクラッシュでは人は死なない)

その他,「バッテリに関わる課題」など,
技術的な話もあったのだけれど,
政治的な背景もあっていろいろ話題も豊富で,
会場からも多くの質問が出た.

「なぜテスラの自動車は永久磁石式モータではなく
誘導電動機を使用しているのか」という質問には,
「確かに永久磁石式は定格出力時の効率も良いし,
制御も簡単だけれど,誘導機は広いレンジでそこそこの
効率が出せる.そして何よりも永久磁石の材料の
ネオジウムは中国が主要な産出国であり,彼らに
永久磁石の市場を握られていてはだめだと思うので
永久磁石は使用したくない」と答えていた.
思わず会場の一部から拍手が出る.
しかし今回の会議では,中国の研究者も大変多く
参加しているので会場は微妙な雰囲気に...
やはり私たちは政治や経済から離れては
研究できないということを改めて感じた.

二人目のPlenary Sessionの講演者は
Daniel M. Kammen教授.
低炭素社会の実現に関する講演.
彼はカリフォルニア大学バークレーの教授であるとともに,
ノーベル賞を受賞したIPCCのChairでもあったそうである.
今はDiscovery Channelのホストも務めているのだとか.
彼の講演は,日本ではおなじみのCO2削減は急務であると
いう話だったけれど,アメリカでの取り組みの紹介において
オバマ大統領の政策により,今後CO2排出量が激減する
予想図が示されたが,あまりの変わりように驚いた.
とにかく,これからしばらくはアメリカと中国の動向が
CO2問題についてはキーとなると何度も繰り返していた.

電気自動車と低炭素社会.
この二つは互いに強く関連しあっていて,
今後のパワーエレクトロニクス分野にとって,
ずっと重要なトピックになっていくのだろう.
だからこそ,この第1回目のECCEのPlenary Sessionに
選ばれたのである.
何年か後になっても,このPleanry Sessionは
話題になっているかもしれない.

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