特に美術好きというわけではないけれど,
それでもいくらかの作品を観て,
美しいと思うことがある.
世の中には,絵画,陶器をはじめ,
多くの美術品があり,西洋,東洋に
さまざまなスタイルがあるけれど,
私は,「民芸」と呼ばれる分野が意外に好きである.
派手さはないけれど,実用の美がある.
もともとは無名の作者の作品で,
美術品としての用途など考えていなかっただろうけど,
道具としての使い勝手の良さが考えられた形,
そのうえで生活の中における余裕を感じさせる図柄や意匠.
意図せぬところに宿る美しさが好きなのである.
これは私が技術畑の人間なのだからかもしれない.
日本における民芸活動の作家のうち,
多くの人を,私は好きなのだけれど,
最近,心惹かれたのが,「芹沢銈介」の作品.
型絵染と呼ばれる独特の染色技法によって,
日本らしい美しさを,表現した染色家である.
(人間国宝にもなった)
彼の作品を見れば,その意匠の美しさがすぐにわかる.
華々しさはないけれど,心がほっとする暖かさがそこにある.
染め物だけでなく,絵本や本の装丁などの作品も美しい.
こうした美しさは,特に日本人に馴染み易いのではないかと思う.
また色使いがため息がでるほど美しい.
赤や緑を見てみても,どこにもけばけばしさがない.
どこか丸みを帯びた優しい色になっている.
そしてそれらがあやなす美しさは,
数学的なものから遠く離れたもののように思われる.
人の生活がそこに感じられる.
いつか自分でWebデザインをするならば,
彼の色使いを是非参考にしたいと思う.
今年の夏も暑そうである.
こうした色使いのものが身近にあれば
少しは涼しくなるだろうか.
そういうわけで,彼のデザインのうちわが欲しいのである.
2011年5月31日火曜日
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