2019年9月10日火曜日

渋沢栄一を演じた勝新太郎,役者の格

再来年の大河ドラマは,渋沢栄一が主人公らしい.お札になるという効果もあるのだろう.演ずるのは吉沢亮.しかし,端正な顔立ちな渋沢栄一というのはどうなんだろう.感情移入できるのだろうかと心配してしまう.個人的には吉沢亮は大好きな俳優なのだけど.

渋沢栄一というと,私にとって最も印象に残っているのは,映画「帝都物語」で勝新太郎が演じたものである.存在感がとにかく大きな渋沢栄一だった.映画の中では東京(帝都)を魔法陣で守ろうと画策するのだけど,セリフの一つ一つが重い.夢のような話をするのだけれど,彼の一言が重いのでリアリティを感じてしまう.帝都は風水によって霊的に守護されるような気になってしまうのだ.

勝新太郎というのは私が大好きな俳優なのだけれど,それは彼の晩年の「存在感」によるところが大きい(若い頃の座頭市の色気も素敵だけど).渋沢栄一もそうだけれど,「独眼竜正宗」で演じた豊臣秀吉もすごかった.特に小田原攻めで渡辺謙演じる伊達政宗と会うシーンなんて,彼がすごく大きく見えてくる.目が彼から離せなくなる.これが「格」というものだろう.

演技の実力だけでなく,人間としての余裕,洒脱さが大きく見させているのだろう.彼がプライベートで三味線を弾き,都々逸を唄っているチャーミングな姿が,今も忘れられない.

本当の天才は,歳をとっても天才だということを彼は教えてくれる.

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