2023年7月16日日曜日

とうとうブレードランナーが必要な時代がやってきた

 「ブレードランナー」という不朽のSF映画の名作がある。調べてみると1982年の映画なので,現代の学生がこの映画を知らないのも無理はない。しかし,この映画のテーマは今こそ話されるべきものなのではないかと私は思っていて,未見の人には強くオススメしている(とはいえ,私も観たのは随分前のことなので,はっきり言って詳細は覚えていないのだけど)。

21世紀の近未来(2019年という設定?),レプリカントという人造人間が開発されていて,彼らは人間を超える身体的能力と高度な知性を持っていた。しかし,感情が芽生えないように短い寿命を持つように設計されていて,彼らは宇宙植民地で過酷な労働を強制されていた。そのなかで,地球に脱走するものも出てきていて,それらを見つけ処分するのがブレードランナーである。

主人公のブレードランナー,デッカードを演じるのが若きハリソン・フォードで,そのハードボイルドなカッコよさにいまだ私は憧れているのだけれど,彼がレプリカントか人間かを見分けるために対象者に複数の質問をするシーンが出てくる。過去の記憶を植え付けられた精巧なレプリカントは人間と区別するのが難しく,美しい女性のレプリカントであるレイチェル(演じるショーン・ヤングがほんとに綺麗)を判断するためには100問以上の質問が必要だとデッカードが開発者であるタイレル博士に答えていたと思うのだけれど,このシーンが強く印象に残っている。

そうなのである。

「高度に製作されたレプリカントはなにが人間と異なるのだろうか」

この哲学的な問題は,今後AIの技術がさらに進んでいく時代において,ますます重要になっていくに違いないと思うのである。映画「攻殻機動隊」でも過去の記憶を植え付けられたゴミ回収者の男が出てくる。彼はレプリカントとなにが違うのだろうか。一方で,頭脳しか人間ではない主人公 草薙素子は人間と呼べるのだろうか。

ChatGPTなどの生成型AIの開発がますます進むと思われるけれど,その受けこたえから私達は話し相手がAIであるのか,人間であるのか,判断することはできるのだろうか。

卑近な例をあげれば,講義において課題レポートを学生に出したとして,その内容がAIを用いて書かれた内容なのか,学生自身が考えて書いた内容なのか,私は判断できるのだろうか。

ネットの向こうの相手が人間であるか,AIであるか,判断する必要性はこれからどんどん大きくなるだろう。それを見極めるための検査が必要だ。映画「ブレードランナー」におけるフォークト=カンプフ検査にあたるその検査方法はいつか確立されるのだろうか。そしてそれを行うブレードランナーはいつか現れるのだろうか。


#黄昏時,顔がよく見えない人が妖怪であるのか,人間であるのか,それを判断するための手段(自分が妖怪ではないと相手に提示する手段)は「もしもし」と問いかけることである。これも人間でないものを見極める検査方法だ。

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