一日の最初に飲む一杯のコーヒーは,なぜあんなにうまいのだろう。
私はインスタントコーヒーで満足できるくらいコーヒーマニアでもなく(インスタントで十分!),まして自分でコーヒーを淹れるようなことは全く無い。そんな私でさえ,日々,一日の最初に飲むコーヒーの美味しさには感動する。それがコーヒー専門店で飲む一杯だったりするとさらにうまい。最高である。日々,高価な美味しい食べ物,飲み物をいただく贅沢はできないけれど,週末のコーヒーだけならば少しの贅沢で最高の幸せを味わえる。富裕でない人のささやかな楽しみである。
しかし,その日に飲むコーヒーの二杯目以降は一杯目ほどの美味しさをなぜか感じられないのだ。ビールの最初の一口と同じである。二杯目の味は最初の一杯の美味しさには到底及ばないのである。
週末,私はコーヒー専門店でハンドドリップコーヒーを飲み,このブログを書くことが多い。そのときに飲むコーヒーの味は最高である。私は苦くて酸味が強いコーヒーが特に好みなのだけれど,ガツンと脳みそにくる最初の一口は本当に美味しい。私は少しでもこの美味しさの新鮮味を逃さないために,コーヒーとともにお水をいただき,一杯のコーヒーを飲む間に何度か水を飲むことによって口の中をリフレッシュする工夫をしているのだけれど,それでもやはりコーヒーの美味しさは二口目から薄れていくような気がする。それが少し悲しい。
なぜこの最初の一杯がこんなにもうまいのか。似たような話は愛煙家から聞いたことがある。海外出張だと7~8時間,アメリカなどだと12時間以上も航空機に乗っていなければならない。もちろんその間は禁煙である。タバコは吸えない。あるとき愛煙家の同僚とヨーロッパ出張に出かけたのだけれど,途中の乗り換えのフランクフルト空港で,まるでなにかと競争をしているかのようにその同僚がタバコを何本も連続して吸っているのを見て呆れたことがある。彼は,「最初の一本が脳にガツンとくるんだよ」と目を細めて話していた。
そうすると,同じようにうまさを感じる私はすでにコーヒー中毒なのか?と疑いたくもなる。私はコーヒーはほぼ一日一杯しか飲まないのに。平日は,「違いのわかる」あのインスタントコーヒー一杯だけだし,週末はコーヒー専門店で飲む一杯だけである。それでもコーヒー中毒になってしまったのだろうか。でも,「脳にがツンとくるうまさ」の表現は共通しているような気がする...
しかし,たとえ中毒であってもいい。このコーヒーのうまさは日々の生活の中の捨てがたい,そしてささやかな幸福,小確幸なのだ。せめてそんな幸せがなければ日々やっていけないのだし。
#誰かの名言で,「美味しいと思って二度目に食べたピーチシャーベットの味は,最初に食べたときの味には及ばない」というものがあったような気がする。人間の特性なのだろう。
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