2025年1月3日金曜日

飯沼一家に謝罪します

年末にまたモキュメンタリーを観た。

 「飯沼一家に謝罪します」(テレビ東京,深夜,全4回)

イシナガキクエを探しています」に続くTXQ FICTION第2弾である。

今回は,1999年に矢代という民俗学者が,運気を上げたいという飯沼一家にある儀式を行ったところ,TV番組で100万円とハワイ旅行を獲得したのだけれど,そのすぐあとに家が全焼して一家が焼死するという不幸に見舞われた,という話。儀式は失敗したのではないかと気づいていた矢代が2004年に「飯沼一家に謝罪します」というTV番組で公開謝罪をし,彼自身もまた別の儀式を行って行方不明ということになったことの真相を,2024年のこの番組で追う,というものである。

(以下,ネタバレ)上の話だけ読んでもなんのことだか,まったくさっぱりわからない話なのだけれど,実は飯沼家には引きこもりの長男がいて,その長男の代わりに親戚の男の子が替え玉としてTV番組にでることになった。そして,この男の子が一緒に(不完全な)儀式を受けたために,火事の際には実は長男と一緒に助かったのだけれど,その後引きこもりになってしまい,病気になってしまった。このとばっちりをうけた男の子の母親がこの復讐のためにTV番組を作るように工作して,矢代に別の儀式をおこなわせ,自分の息子ともども救われない状態にしたというのが真相らしい。

そもそも民俗学者が宗教的な儀式をゼミの学生と一緒に行っているというのがツッコミどころなのだけれど,まぁ,「妖怪ハンター」みたいなものかとも思う。矢代が行った儀式では,みんなが嫌に思っていることを紙に書いて箱に入れたのだけれど,替え玉の男の子が「数学の試験」と書いたほかは,全員が「長男」のことを書いていた。これを知ったオカルトマニアの長男がその儀式を失敗させたのではないかということらしい。その長男だけは普通にリンゴ園を営んだりしていて助かっている。

私は,呪いや魔術というものの効果を信じているけれど(科学的な意味ではなく,深層心理を含む心理的な操作方法として),ここでは人智を超えた力が儀式によって働いているということになっている。それが失敗に終わって痛い目にあう,そんな話ということらしい。

さまざまな考察がネットにあげられているけれど,最初から番組として不完全なものとして作られているだろうから,結局正解など無いに違いない。しかし,「イシナガキクエ」もそうだったけれど,人間が人智を超えた闇にふれてしまうことによって,人生をおかしくしてしまうというテーマが描かれているように感じる。

そして,私も不完全な儀式は怖いという考えに同意するのである。


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