「魔界転生」(1981年,深作欣二監督)
を観た。今年3本目。
なんといっても私はこの映画が大好きで,何度も観ているはずである。妖奇ファンタジーホラー時代劇というべきか。深作欣二のケレン味たっぷりの演出がもう最高である。この2年後に深作は「南総里見八犬伝」(薬師丸ひろ子,真田広之)を撮っているけれど,作品のクオリティは,こちらの方が10倍以上素晴らしいと私は思っている。
なにが素晴らしいって,まず豪華な俳優陣。主人公の柳生十兵衛の千葉真一に対し,なんと天草四郎が沢田研二!魔界堕ちしてしまう十兵衛の父,宗矩には若山富三郎。そのほかにも宮本武蔵役に緒形拳,宝蔵院胤舜に室田日出夫,伊賀忍者霧丸に真田広之,細川ガラシャに佳那晃子。さらに神刀「村正」を打つ刀鍛冶に丹波哲郎,その養女に神崎愛。そして忘れてはいけない成田三樹夫ということで東映時代劇オールスターズとなっている(「柳生一族の陰謀」と似たような布陣?)。
今回観て,あらためて思ったのは細川ガラシャ役の佳那晃子の妖艶な美しさ。この美しさを映画の中に記録できたのは,佳那さんにとっても幸せだったのではないかと思う。炎に包まれた江戸城でなぎなたを振るう姿に惚れ惚れとする。男を,いや国をダメにする傾国の美女とは彼女のような人をいうのだろう。
次に思ったのは,アクションのすばらしさ。現代であったら絶対許されないような,あるいはCGで実現される危険なアクションがあちらこちらに見られる。昔は本当に身体をはって映画を撮っていたのだなぁと思う。最後の炎に包まれ落城していく江戸城の中での殺陣はどのように撮影したのだろう?CGのなかった時代だから,実際に炎を焚いたのだろうか。そのなかでの殺陣はさぞかし暑くて,危険なものであったろう。ちなみに本作のアクション監督は千葉真一となっている。なにか,無理をいいそう。。。
そしてもちろん若山富三郎の殺陣の素晴らしさ。なんど絶賛しても物足りない。もちろん,千葉真一や室田日出夫など,相手役があっての殺陣の出来栄えなのだろけれど,何度みても凄い。たぶん撮影時,若山富三郎は五十代半ばで(私と同じくらい?_)そろそろ体力的に衰え始めていただろうに,見事な足さばきで,ときどきジャンプも見せていて,この人ならではの殺陣を見せている。また目の芝居が素晴らしい。さぞかし,撮影現場では怖かっただろうなぁと想像する。
この作品があまりにも素晴らしかったために,この後も本作品は何度も映像化(映画,テレビドラマ,演劇)されている。魔界からよみがえった宗矩と十兵衛の親子対決なんて,思いついた山田風太郎は本当に天才。なんどみても良い映画。映画好き,時代劇好きにはぜひみていただきたい傑作である。
評価はもちろん星5点満点★★★★★!
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