テレビ東京はいろいろなホラーを製作しているけれど,最近はモキュメンタリーと呼ばれるドキュメンタリーのようなフィクションをときどき製作している。私はそれらの番組が結構好きでこれまでにも
「SIX HACK」
そして
「祓除」
などの番組を見てきた。のちに,これらは共通して「大森時生」というテレビ東京のプロデューサーが関係していることを知ったのだけれど,テレビ東京ではこうしたモキュメンタリーなどを放映するらしい「TXQ FICTION」という枠をこの4月から設けて,やはり大森氏が関係している「イシナガキクエを探しています」というモキュメンタリーを第1作目として放映したのである。
この番組の設定が秀逸で,過去によくあった行方不明者をテレビの生放送で公開捜索するという番組を模している。そこで「イシナガキクエ」という女性を探すのだけれど,イシナガキクエは亡くなっている可能性が高くなり,探すことを依頼した米原という老人も亡くなったこともあって,捜索は打ち切り,3回目でテレビ放映は中止された,ということになっている。米原氏は焼身自殺したことを最後に伝え不穏な空気のまま,なんの解決もされないまま番組が終了するという,なんとも気持ち悪い終わり方であった。(今思うと,公開捜索番組ってかなりおかしなことをやっている。現在はできないのではないかと思う)
いろいろな謎が提示されたまま終了するのかと思っていたら,第4回目はネットで放映されていた。第4回目ではいくつかの謎に対して推測される解答が示されていたけれど,それでもよくわからないまま番組は終了したことになっている。
私は大いに楽しんだけれど,なんの前知識もないままこの番組を見た人は,番組開始直後に「この番組はフィクションです」と断りがあったにしても,わけもわからないまま放り出されて番組が終わったことに戸惑ったに違いない。そしてネット放映を知らないままの人も数多くいるだろうから,それらの人たちのモヤモヤ感を想像すると私がその立場だったら怒りさえ覚えるかもしれないと思う。
まあ世の中,こうした番組を許すような余裕ができたくらいに成熟したということも言えるだろうけれど,私としてはやはり結末までテレビ放映はしてほしいと思う。ネットの最終回前提が当たり前になると,テレビ放映回を見ていてもどこか集中が途切れてしまう。「SIX HACK」のときも同様だし,私は未見なのだけれど「Aマッソのがんばれ奥様ッソ! 」の事後番組もネットでのみ配信されているのを見ると,テレビ大好き人間としてはちょっと悲しい。次作からはぜひテレビ放映のみで番組を完結するようにして欲しいと思う。(実際は新潟では放映されていない番組なので私は動画配信で観たのだけれど)
本記事では「イシナガキクエを探しています」の内容にはほとんど触れることができなかったけれど,ホラーとして発生する事象(「幽霊が現れる」とか)よりもいろいろな設定こそがじわじわくる「恐怖」であるというジャパニーズホラーの王道を行っている番組である。こうした考察を必要とするホラーもたいへん楽しい。TXQ FICTIONの枠に今後も期待したい。
#番組第1話で,視聴者から寄せられたイシナガキクエに関する情報で,「長岡駅のホームに立っているのを見た」と白板にメモが貼られているのを見てニヤリとした
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