「手を出すときは心に情けを残すな」――夢の中のフルパワーから考える心の修行
私は睡眠中の夢の内容を覚えていることはあまり多くないのだけれど,ときどき夢の途中で目を覚ますことがある。
このときの夢はだいたい誰かと格闘をしていることがほとんどである。身体が動くこともあって,目を覚ますらしい。夢の中の格闘は現実のものとは大きく異なる。それは,技にリミタをかけるかどうかである。
実生活でもしも格闘をすることがあったら,破壊的衝動に心理的なブレーキがかかって,これまで稽古してきた技を100%の出力で使うことはないだろう。相手に技をかけることも難しいし,たとえ完璧に技を行えたとしても相手を壊すことは無意識にでも避けるだろうから,たぶんどこかでリミタをかけてフルパワーでの技は行わないと思う。
しかし夢の中は違う。無意識下においてはやはり起きているときと違っているらしく,破壊的衝動を開放してリミタをかけずにフルパワーでの技をかけてしまうのである。そのために夢の中では,相手の顔面をフルパワーで殴ったり,投げ技を危険な角度でかけたりしてしまっている。本来これらの状況はあってはならないものである。そう,これはひとえに私の心の修行不足なのだといえるのだろう。
漫画「拳児」に紹介されていた武術家の心得を示した言葉がある。
「手を出すときは心に情けを残すな。心に情けが残る時には手を出すな」
私は夢の中では心に情けを残さないらしい。夢の中で解放される衝動に日頃からどう付き合うか。そうした心の修行が必要である。
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