2011年1月31日月曜日

The Rite: エクソシストとの対話,島村奈津

最近,全く映画館に足を運ぶことができず,
専ら観るのは海外出張の飛行機の中,という
映画ファンにあるまじき生活を送っているけれど,
私はいまだに自分が映画ファンであると思っている.

そんな私が最近注目している映画が

"The Rite"

アメリカで現在公開している映画である.
監督は,ミカエル・ハフストローム(って読むのか?)
主演は,アンソニー・ホプキンス.

"rite"というのは,儀式.
この映画でいうのは,悪魔祓いの儀式であり,
アンソニー・ホプキンスは悪魔祓い師,
すなわちエクソシストの神父を演じている.
(ちなみに,ストラビンスキーの「春の祭典」は
"The rite of spring")

どうも事実をもとにした小説が原作とのことだが,
若い神父が,アンソニー・ホプキンス演じる神父に
ついて,エクソシストの儀式を学ぶとともに,
そこで体験する恐怖を描いた映画らしい.

「エクソシスト」というと,映画や小説の中だけの
話と勘違いされそうだけれど,
れっきとして,バチカンに認められているものだったりする.
現在は200名を越えるエクソシストがいるとか.
エクソシスト自体は,想像の話ではないのである.

そこでぜひ紹介したいのが,次の本.

「エクソシストとの対話」,島村奈津

21世紀国際ノンフィクション優秀賞受賞(1998)の傑作である.
決して,オカルトではなく,あくまでも
「ノンフィクション」である.
私は当時購入して,たいへん興味深く読んだ覚えがある.
今ももちろん手元に置いてあるが,
記憶が薄れ,内容の詳細はあいまいなところがある.
しかし,現代のエクソシズムを考えるにあたり,
参考になるところが多いのではないだろうか.

この本が書かれた当時は,「エクソシスト」はまだ
バチカンで公式に認められていなかったのではないだろうか.※注
しかし,聖人にも列席されようかというカンディド神父の
生涯をたずね,エクソシストとしての足跡を追ううちに,
「悪魔祓い」の意味について深く考えさせられる.

同書には,心理学者の見解もあわせて
インタビューとしてまとめられており,
それがまた興味深い.
「悪魔祓い」の儀式とは,それもまた
心理療法のひとつとしてあり得るような
話だったと思う.

イタリアにおいても,悪魔憑きとなるのは,
決して教育レベルが低い地方に多いのでもなく,
信仰が強い地方に多いのでもない.
本当に普通の人が,自分や家族を
「悪魔憑き」と考えるということ自体が
驚くべきことだとしている.
そうした場合,確かにエクソシストは
効果があるのかもしれないとも思う.

カンディド神父は,映画「エクソシスト」の
モデルになったひとりだといわれているのだけれど,
映画会社が公開前に,神父に映画を観てもらって
感想を求めたところ,
首が反対に回ったりするところなどの他は,
映画は良くできている,と言ったのだとか.

"The Rite"がどのような映画であるか,
非常に楽しみだけれど,
単なるホラー映画で終わらなければいいな,と思う.
エクソシズムの意味を考えて,
背中がゾクゾクするような.

「エクソシストとの対話」も力作なので,
ぜひ興味のある方には読んでいただきたい本なのである.
あくまでも「ノンフィクション」だけれども.

#島村奈津はスローフード運動を日本に紹介した人でもある.
私はこのことを知ったとき,ずいぶんと意外な感じがした.

※注: 1990年代にはすでに200名以上のエクソシストが
バチカンにいたらしい.ここに訂正しておく(2011.02.10)

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