今日もまたエクソシズムの話.
日本にも,「狐憑き」,「犬憑き」という話があって,
それを祓うということを行う人がいる.
日本の古武道にも,そのようなことを
行う流派があって,
たとえば,
(...と言おうとして,
いろいろと問題があるかもしれないと
思い直して,日本でも最も古い武道の
流派のひとつということにしておく)
ある流派の方のインタビューが
雑誌に掲載されていたのを覚えている.
その人は,先輩からその役目を
引き継いで,「祓いもの」をしていた.
武術なので,印を結んだり,
居合を抜いたりすることによって,
憑き物をを落とすのだという.
あるとき,女の子に狐が憑いた.
それで呼ばれて祓いにいったのだけれど,
なんと全然歯が立たず撤退.
その人は,自分のこれまでの
修行は何だったのかと反省し,
先輩にも聞きに行き,
たばこもやめ,
滝行もし,伝書を開いて,
再び憑き物落としに向かった.
その日は,いつもの刀ではなく,
特別な刀を携えていったのだという.
そして,その女の子に対峙した瞬間,
「今日はこの前より長いやつを持ってきたな」と
言われたのだという.
素人が一般に刀の長さを
ぱっと見で把握することは難しい.
だからこそ,その人は
背筋がぞっとしたのだという.
しかし,最終的には
憑き物を落とすことに成功したということである.
私はこのインタビューを読んで
そんなものかな,と
あまり不思議に思わなかった.
武術というのは,当時は
最新の技術と知識の統合であり,
戦う術だけでなく,土木や医療,
まじない,などを当然含むものであった.
有名な剣術のひとつであるY流を
修行している先輩が,私の後輩が
けがをしたときには,
すかさず印を結んで痛み止めを
施すのを見たこともある.
武術とはそうしたものなのだろう.
昨日紹介した著名なエクソシストで
あったカンディド神父も
儀式の際に怖いと思ったことが
一度あったのだという.
儀式によって,机がひとりでに動こうが,
明かりが消えようが,怖いとは
思わなかったらしいけれど,
心の中に浮かんだ言葉を
ずばり当てられてしまったときに
恐怖を感じたのだという.
先の話の刀の長さを見極めた話といい,
そうした状況にある人は,
感覚が異常に鋭くなるのかもしれない.
そんなことを思う.
私はそうしたことに
あわないで一生を終えることが
できたらと思っているのだけれど.
2011年2月1日火曜日
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