2009年5月7日木曜日

ガッツが足りない

この連休中,友人のTさんとIさんの結婚式が
挙げられるとのことで,一日上京してきた.
Tさん,Iさんともに,以前の職場の同期であり,
お似合いのふたりだと心より思う.
本当におめでとうございます.

私は人前式というものに初めて出席したのだけれど,
多くの親族,友人たちに見守られる
暖かい雰囲気の中で,結婚を誓いあうふたりを見て,
こうした形式も素敵だなと思った.
私も証人のひとりとなったことだし.
(結婚式の証人もWitnessと呼ぶらしい.
我々は「目撃者」なのである)

披露宴では主賓である東京大学名誉教授の
宮健三先生のご祝辞があった.
(彼は宮研究室出身の俊英である)

そこで話されたのは,人が不可能と思うような困難に
立ち向かうことが研究開発に携わるものの務めであり,
それに必要なのはガッツであるということ.

「ガッツ」
久しぶりにこの言葉を聞いた.
どこかのウルトラ警備隊の名称だったかな.
そういえば,最近「ガッツ」を口にする人が少ない.

一方,今は「スマート」流行りである.
電力分野ではスマートグリッド,
材料分野ではスマートマテリアル,
国の戦略であってもスマートパワーなどと言われる.
要は,高機能を指すのであろうが,
「スマート」という言葉には,
「カッコよく」という意味が含まれる.
そして,どこか「楽をして」というニュアンスが
含まれているのではないだろうか.

研究開発は,「スマート化」は目的になるけれど,
スマートに物事を進めるだけでは
突破できない壁があると思う.
これに立ち向かうのが,それに携わる私たちの仕事だし,
それには「スマート」の反対の「泥臭さ」が伴う.
そして,それに必要なのが「ガッツ」なのである.

「ガッツ」(Guts)の本来の意味は「腸」である.
内臓で感じるがごとく,すなわち
日本流に言えば腹を据えて物事に立ち向かう
ということである.

私にもGutsは不足しているようだ.
石にかじりついても成し遂げようとする気概,
最近忘れていたように思う.
この少し懐かしく感じる言葉をお土産に
私は東京から帰ってきた.
(もちろん素敵な引き出物もいただきました)
今日から,Gutsで仕事するのである.

#ちなみに,英語で「虫の知らせ」は
Gut Feelingsというらしい.
内臓で感じる,腹で感じるという感覚は
世界共通である.

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