2009年5月26日火曜日

昼間の「誰そ彼」時

昨日はキャンパス内でマスクをつけている人を
多く見かけたけれど,今日は明らかに激減.
学食の学生たちが集まっているのを見ても,
マスク姿は数えるほどしかいない.
日本人の傾向としてあるのかもしれないけれど,
のど元過ぎれば熱さわすれる,
つまり,もうすっかり警戒心が低下しているようである.
過剰に反応するのも良くないけれど,
たった数日でここまで無防備になるかと思うと,
それはそれで考えさせられる.

マスクは予防にはならないというけれど,
少なくともかかっている人からの感染を
防ぐことには有効なのだという.
私は体調はまだ大丈夫だけれど,
いつ感染するかわからない.
もしかして,今も感染しているのかもしれないのである.
その場合,人にうつさないという目的のために,
私はマスクをするのである.
それが責任だと思う.

しかし,マスクをして困るのは,
誰が誰だか認識しにくいということである.
キャンパスを歩いていて,
会釈をされても,誰だかぱっと見,わからない.
近くに寄って注意してみて,
初めてだれそれと認識できる.
マスクは人を得体のしれない人に変えるのである.

そう思って,私は妖怪の話を思い出した.
その昔,夕暮れ時の薄暗い中,
得体のしれない人に声をかけるときには,
「もし,もし」と二度繰り返した.
妖怪は同じ言葉を二度繰り返すことができないと
信じられていたから,
自分は妖怪ではありませんよ,と,
まず情報を発信しているわけである.

マスクをかけていると,人は得体が知れなくなる.
その意味で,それは,妖怪と変わりがなくなる.
だから今の状況では,声をかけあわないと
誰が誰だかわかりにくい.
たとえ昼間でも「たそかれ」ときと同じなのである.

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