2009年5月28日木曜日

毎日練習すること

体調がすぐれなかったので,
ダイエットのために始めた運動も
少しお休みしている.
今日か明日から復活せねば...

スポーツでは,毎日練習しなければならない,
という人がいる.
中高生時代には,野球部やサッカー部の
友達にもそういうことを言う人が多かった.
一日休むと,それを取り戻すのに3日かかるとか.

実は,トレーニングで筋肉をつけるという話から行くと,
これはあまり当てはまらない.
筋肉をつけるためには,逆に休息が必要なのである.
まずトレーニングによって筋肉に負荷をかけて筋繊維を壊す.
そしてそれが修復される場合に,
壊される以前の能力を越える筋肉がつくのだという.
これを超回復とよぶ.
これがトレーニングの基本的な考え方である.
(20年ほど前に仕入れた知識だから古いかもしれないが)

だから毎日同じ部位を鍛えるのは良くない.
負荷をかけすぎると筋肉は逆に萎縮してしまう.
だから1日胸を鍛えたら,
筋肉が回復するまで1日以上休むようにする.
プロのトレーニングをしている人などは,
毎日トレーニングをしているように見えるけれど,
鍛えている部位は日々変えているのである.
今日は胸,明日は足腰,という風に.

だから,毎日練習しなければならない,
というのは筋肉のためではないのだ.
しかし,多くの人が毎日練習することの重要性を説く.
それには別の理由があるはずである.

私はその理由のひとつは,
感覚のフィードバックによる修正のためだと思う.

例えば,野球でバットを扱う技術,
ボールを投げる技術,
サッカーならばボールを扱う技術.
そういった非常に高度な技術を
要求されるスポーツにおいては,
筋肉による力というよりも,
身体を正確に制御する能力が大切である.
そしてそれは五感によって体感される
感覚によって制御されている.

一方,人間は毎日身体の調子が変わっていく.
それにあわせて,身体の制御も微妙に
変えていかなければならない.
体感される情報によって,自分の動作を
修正するというフィードバックが必要なのである.

毎日練習するならば,このフィードバックによる
修正量は少なくて済む.
それは負担が少ない.
しかし,2日も3日も休んだらどうだろう.
フィードバックによる修正量は大きくなって,
一日で可能な自分の制御の能力を越えてしまう可能性も
出てくるのではないだろうか.
結局,また時間をかけて所望の身体操作が
できるように練習をすることになる.
(しかし,元の動作が復元できるとは限らない)
これが,一日休めば遅れを取り戻すのに3日かかる,
という言葉の意味ではないだろうか.

武道の稽古においても,1週間に1日だけ集中して
70分練習するよりも,1日10分でもいいから,
毎日稽古を継続する方がよいという話をよく聞く.
これは,武道が力ではなく,技術であることを
示していると思われる.

以前に読んだ本に,作家のよしもとばななさんが,
一日休むとそれだけ筆力が落ちるみたいな発言を
されていたと書いてあった.
トップの作家ともなると,そういうこともあるかもしれない.
あるいは,よしもとばななさんは,自分の身体的感覚に
強く依存した物書きであるのかもしれない.

毎日練習することが,スポーツ,武道に限らず,
種々の分野で技術的能力の維持と向上には大切なようである.
まぁ,継続することによって一番に
鍛えられるのは,精神力かもしれないと思うのだけれど.


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