2009年6月8日月曜日

日本で最初の水力発電所

先週は国際学会に参加していた.
IPST(International conference of Power System
Transient)という名称で,
おもに電力系統における過渡現象の数値解析,
リアルタイムシミュレータなどを取り扱う会議である.
(雷やスイッチによるサージなど)

国際会議といっても,開催地は京都だった.
この京都というのが微妙な位置で,
兵庫の自宅から凡そ3時間を要する.
その移動だけでずいぶんと時間がとられて,
なんだかんだで忙しかったのである.

会場は当初同志社大学のキャンパスが
予定されていたのだけれど,インフルエンザの関係で
急きょ,京都国際交流会館(KIC)に変更された.
ほんの1カ月のことだから,それはそれは
スタッフはたいへんなご苦労をされたことだろうと思う.

ちょうどこのKICの目と鼻の先には南禅寺があり,
海外からの会議の参加者たちは,昼休みに
散歩を楽しんでいた.
(私は散歩というよりも,参道のお店で
ちりめん山椒などの購入が目的で歩いていたけど)
その他にも,平安神宮も近くにあり,
とても京都らしい会場であった.

そして,日本の電気工学の研究者,技術者たちにとっては,
この開催地はまた別の意味で感慨深かった.
それは,このKICのとなりに蹴上発電所があったのである.
蹴上発電所は,実は知る人ぞ知る
日本で初めての水力発電所なのである.
教科書にも載っている.
私も講義でそのような話をしてはいたのだけれど,
実際に訪れたのは初めてである.

残念ながら,通常時には公開は行われていない.
だから周囲の柵の外からみるだけなのだけれど,
建物は色あせたピンクの古いレンガ造りで,
窓のつくりも洋館そのものである.
もちろん,その洋館のわきには
水を引いてくる管路があって,その先の
水槽の渦をみれば,ここが水力発電所であることが
あらためて実感される.

運転開始は1851年(明治24年)のことだという.
当初は発電電力は2MWにも満たなかったというけど,
現在はどのくらいなのだろうか?
水車の型は(ペルトンかな...)?
ベーンの制御は(いや,ペルトンならばニードルかな)?
と,いろいろ興味は尽きないのである.
(マニアだけど)

アジサイだか,サクラだか,見ごろのシーズンには
一般公開されるのだという.
こうした工学的史跡の価値が一般的に低いのは,
つねづね残念に思っている.
まぁ,他の京都の国宝と同等にしろ,とは言わないけれど,
もう少しみんなの注目を集めることができたらなぁと思う.


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