「三年かかっても良き師をさがせ」,とはよく言われることである.
確かに先生によって,その後の人生が左右されるということは
よく耳にする話である(反面教師という場合もあるが).
一体,良い先生とは,どのような人をいうのかと
ふと考えてみた.
(合氣道のO先生の講習を受けた影響)
結局のところ,なにかの素晴らしい可能性を
指し示してくれる人なのではないか,と思う.
その先生が教えてくれる具体的な知識,技術も
もちろん大切なのだけれど,たとえば合氣道を学ぶことによって
どんな素晴らしいことができるのか,あるのか,
それを示してくれる人こそ良い先生と呼べるのではないか.
合氣道には限らず,学問においても,
その研究の先に何があるのか,それを夢をもって
指し示すことができる人こそ良い先生なのではないかと思うのである.
O先生のように,その境地を実際に行って
見せていただける先生はもちろんのことである.
ただ,いくらその技術を体現できても,
それが素晴らしいと思わせることができなければ,
先生としては失格ではないだろうか.
逆に,その境地に達していなくても,
そこにいけば,どれだけ素晴らしい世界なのか,
それを指し示すことができれば,
たとえ技術は及ばなくても,その人は
良い先生になりうるのではないかと思う.
研究の世界は,すべてそれである.
研究とは,すべてそれが実現された上での
夢を目指して行われるものだからである.
すべてわかっている人が先生になるのではない.
夢のありかを指し示す人が,
そしてそこに向かって進むための手段・方法を
教えてくれる人が先生となるのである.
職場での上司なども同じことではないだろうか.
部下に対して単にロールモデルを示すだけではない.
その仕事を通して達成される素晴らしい何か,
夢のある何かを指し示すことが必要なのではないだろうか.
そうでなければ,下のものはついてこないだろう.
顧みて自分を思う.
学生のみなさんに夢を指し示しているだろうか.
はなはだ自信がない.
自分の知識・技術を向上させることはもちろんだけれど,
学生のみなさんに素晴らしい可能性を指し示すことが
できるような努力も行っていきたいと思う.
(自分が魅力を感じている仕事であれば,
おのづとわかってもらえるということもあるだろうが,
もっと能動的に行う必要もあるのではないだろうか)
2010年4月23日金曜日
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