2010年4月2日金曜日

桜の樹の下には...

花冷えとはいえ,桜の花はあちらこちらで
咲き始めている.
4月が来たことを実感する.
あともう少し暖かくなれば完璧である.

しかし,つくづく日本人は桜が好きなのだと思う.
小林秀雄の講演集にも,桜の話がいくつか出てくる.

ひとつは本居宣長.

敷島の大和心を人とはば 朝日ににほふ山桜花

という歌を挙げて,彼が山桜を自分の墓所に
(また「大和心」とは何かということに触れていて,
大変興味深い講演となっている)

その他にも,桜の植林に一生を捧げ,
親から引き継いだ財産をすべて使ってしまった人の話が
紹介されていて,その美しさは誰かの人生をも
狂わせてしまうほどなのだと思わされる.

なぜこれほどまでに桜は美しいのか.

梶井基次郎は,「櫻の樹の下には」という文章で冒頭,
こう述べている.

櫻の樹の下には屍体が埋まっている!

そうでなければ,あんなに美しく咲くわけがないじゃないか,
と述べて,これは信じてもいいことだ,と言っている.
それほどまでに怪しく美しいのだ.桜は.

夜桜を見た.
花びらがひらひらと白く,月の光の中散っていく.
その情景になにもいうことはなかった.
ただただ美しいというだけで十分である.


Japanese Cherry, 桜の下には...

Japanese Cherry, 夜桜

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