2010年4月27日火曜日

異常な就活

最近の学生たちの就職活動(就職)は異常だ.
誰もがそう思っている.
4月の声を聞いて,すでに修士1年の学生に
〇〇ナビなどの登録を呼びかけている.
どうなっているのか.
だれかこの状況を喜んでいる人がいるのか.

まず学生はどうだろう.
3年生あるいはM1から就職活動が必要だ,などと
情報に踊らされて,浮き足立っている.
不安にかられ,勉強や研究がおぼつかない.
かといって,自分だけが就職活動をしないという
わけにもいかない.
仕方なく,あちらこちらのインターンシップに参加し,
会社を訪問し,試験を受けるために飛び回っている.
4年生大学であれば,そのうちの1年以上を就活に
費やすということは,貴重な4年間の1/4以上を
大学で過ごせないということなる.
その損失の大きさを考えれば,
いかに現在の学生が可哀想か,よくわかる.

次に企業はどうか.
企業も長期間にわたる就活に辟易している.
学生の相手を現場の社員がしなければならない.
それだけ現場の仕事の時間が割かれている.
現場からの悲鳴が聞こえてくる.
それで良い学生がとれているのかというと,
そんなことは全然ないという.

現状のような景気状況では,採用人数を
絞らずにはいられない.
自然,企業は少数精鋭の新人を手に入れようとする.
一方,学生たちは複数の会社を当然のように受ける.
すると,一部の印象の良い学生たちだけが
内定を重複してもらうことになるわけである.
すなわち,学生側から見れば,
内定を貰える人は何社も貰え,
貰えない人はどの企業を受けても貰えない,
という状況が起こる.
そして,企業は,優秀な人に内定を出したとしても,
その学生が来てくれるとは限らないわけである.
結局,多くの企業は優秀な(実は印象が良いという
ことなのだが)学生を採用することができないという
不幸な結果となる.
企業も労多くして得るものはない,ということになっている.

そして大学はどうだろう.
大学としては全くもって現在の状況に益はない.
大学生活の1/4以上を就活に費やすならば,
25%以上の教育ができないことになる.
これを社会的損失と言わずになんといおう.
学生のレベルは下がり,
そしてまた企業からは学生の質が低いと
文句を言われる.
しかし,その原因を作っているのは他でもない,
この異常な就活の状況なのである.
企業もその一端を担っているのである.

この三方一両損どころではない,
三者大損失という状況を招いている
元凶であるところのこの就活.
なんとかならないものか.
どうして経団連とか,そうした企業団体で
改善しようとしないのか.

この状況で得をしているのは,
結局就活支援企業である.
これらの企業は,会社に行っては不安をあおり,
学生を集めても不安をあおり,
マッチポンプの状況を作り出して
自分たちの利益を稼いでいるのである.
みんな彼らに踊らされているだけではないのだろうか.

これからは厳格に就職活動は
ある決められた1ヶ月だけとして,
(それも夏休みとか)
それを破った会社は社会的な制裁
(会社名を公開して非難する)を
受けるようにしてはどうか.

みんなの目をさますために
就活による社会的損失を
だれか計算してくれないだろうか.

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