2010年4月28日水曜日

就活のマッチングの意味

続けて就活の話を.

最近の企業では,採用時に
マッチングというものが行われることが多い.

現場の技術者と希望する学生が
話しあって,自分のやりたいことと,
職場の内容があっているかどうかを
確認するというのである.

そんなことは私が学生時代は
あまり行われていなかったように思う.
近年,入社してから
「私がやりたかったことと違う」
などといって,辞めてしまう若者が
急増したことから,こうした手続きが
始まったという話である.

しかし,このマッチングというのは学生たちにとって
本当に適切に機能しているのだろうか,と思う.
そもそも修士1年やそこらの段階で,
自分のやりたい仕事というものが
明確になっているのだろうか.
そしてその仕事の価値を理解できているのだろうか.
私の想像では,マスコミの露出が多い仕事に
憧れているだけの人が多いのではないだろうか.

学生は,どれだけ本気でそれをやりたいと
思っているのだろうか.


マッチングを行う企業の方が,
その学生の甘さを指摘して,
別の方向に導くというのであれば,
マッチングを行う意味もあると思うが,
実際そうなのだろうか.
(この就職が厳しい状況では,
学生たちはやれる仕事はなんでもやります,
といっているかもかもしれないが...)

私が言いたいのは,仕事の価値なんて,
入社してずいぶんと経ってからでなければ
実際には理解できない,ということである.
(何年経ったってわからないかもしれない)
そして,自分の適性だってわかるわけがない.
だから就職採用時のマッチングが合わないからといって,
希望を取りやめ,自分の可能性をわざわざ狭めることは
良くないのではないか,ということである.

しかし,そんなことは企業側は始めから
わかっているのだろう.
(だって,みな経験者なのだから)
結局のところマッチングとは,企業が
ていよく学生を断るための方便なのである.

職場においては,学生のその時点(たかだかM1)での
技術的・研究的能力よりも,まずはコミュニケーション能力が重視される.
それは,企業における仕事はほとんどがグループで行われるものであり,
そこでは,メンバー同士のコミュニケーションが
仕事のクオリティを決定するからである.
(グループで行う仕事が嫌なのであれば,
個人デザイナーや芸術家,
そして大学教員(笑)になればいい)

以前にも書いたが,実力があっても性格が悪い人と
実力が少し不足していても性格の良い人がいたらならば,
性格の良い人を採用する方が,
企業は成功する可能性が高いのである.
なぜならば,性格の良い人であれば,職場において
教育次第で伸びる可能性があるが,
そうでなければ,手のうちようがないからである.

マッチングにおいては,そういう意味での
(やりたい仕事かどうかではなく)適性が判断される.
そして現場が,「ちょっと」と思う人が落とされるのである.
(そうでなくて,優秀な人の中から泣く泣くひとりを
選んでいる,ということも多いのかもしれないが)

逆に仕事内容がマッチングしていなくても,
コミュニケーションの適性があって,優秀な人がいたならば,
企業は無理をしてでも採用するだろう.
そして1~2年は最初の希望した職場で働かせるだろうが,
その後は,会社がその人が最も活躍できる
(利益を出せる)と思われる職場に異動させるだろう.
だって,もしも自分が会社の人事担当だったら,
そうするでしょ?

だから私はマッチングということが
あまり好きになれないのである.
そしてそれに一喜一憂する学生が可哀想なのである.

結局のところ,誰もが認める実力と,
コミュニケーション能力(性格が悪くたっていい)を
身につけるしか,この厳しい就活を乗り越える道は
なさそうなのである.

0 件のコメント:

コメントを投稿

アイアンマン2

 「アイアンマン」を観た あとに 「アイアンマン2」(2010年) を観た。「アイアンマン」がヒット作となり,続編が作られた。だいたい続編というのは面白さがいくぶん減るのだけれど,この続編は1作目に負けないくらい面白かった。 敵役を演じるのがなんといってもミッキー・ロークなのであ...