2010年6月3日木曜日

限界を越えるための針が必要だ

ウェイトトレーニングなどをすれば,
人間の肉体的・精神的限界について
少しは勉強することになる.

ある運動を行ったときに,
身体が壊れてしまう境界を肉体的限界と
呼ぶものとすれば,精神的限界は
それよりもずっと低いところにあって,
意識的あるいは無意識的にパワーを
セーブして自分の身体を守ることになっている.

それがどれくらいの値かということには
いろいろ説があるけれど,マンガなどでは
潜在能力として30%程度はまだ眠っている,
などとまことしやかに書かれていたりする.

実際,火事場の馬鹿力などというものが
本当に存在していて,武道においては,
一時的にその精神的限界を打ち破る
パフォーマンスを得るような工夫が行われる.
たとえば,強烈な自己暗示(印を結んだりする)や
呼吸法,気合である.

余談だけれども,集団で空手などを稽古する場合には
号令を掛ける人の能力が非常に重要である.
彼は集団の意識をまとめて,号令をかけることによって,
稽古しているものたちの能力を引き出してあげなければ
ならないのである.
集団心理,号令が,限界を越える工夫となる.

ウェイトトレーニングでは(私がやっていたころだから
もう20年近く前の理論では),
筋力をつけるために適した負荷は,
およそ限界の70%程度のウェイトで
7~10回くらい繰り返すものだといわれている.

ではどうやって自分の限界を知るのかというと,
だいたい3回くらいしかできない負荷が
およそ80~90%であると仮定して
100%負荷を想定するのである.

つまり,私がベンチプレスを80kgを3回しか
上げることができなければ,
私の100%は100kgということになる.
したがって,通常では70kgを10回程度繰り返して
それを複数セット行って,筋力をつけるトレーニングとなる.

しかし,ときどきは自分の限界を突き破るトレーニングも
必要だと言われていて,その場合は
80%位の負荷をとにかく上げてみる.
自分ひとりで行うと危ないから,
パートナーに手伝ってもらって努力する.
その際,パートナーは私が限界を越えるように
うまくアシストするのである.

たとえば,「行けっ」「やれる」などと声をかけたり,
本当に最後だけ指一本分くらいウェイトを支えてくれたり,
私の能力を伸ばすための工夫をしてくれる.
映画「ロッキー4」などで,ロッキーに対してトレーナーが
一生懸命掛け声をするシーンなどがあったが,
あれである.

極真空手の創始者 大山倍達氏は,
自分のベンチプレスの限界を越えるために
助手に畳針で自分のお尻を刺させたのだという.
その瞬間,痛みでウェイトを上げることができるのだそうだ.

このようにときどきは自分の限界を越えるための
工夫が武道の稽古やトレーニングでは必要となる.
そこで私は,自分の仕事の能力もそうなのではないか,と思う.
ときどきは自分の限界を越えるような負荷を自分にかける
必要があるのではないか,そう思うのである,
そして,その限界を越える工夫が,
すなわち私の生活を突き刺す畳針が必要なのだ.

まぁ,その痛みを考えると尻込みしてしまうのも,
私のトレーニングと一緒なのだけれど...

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